エジソンのライバル天才テスラの謎★Serbian Night バルカンツアー
ニコラ・テスラを知っていますか?
1856年にオーストリア帝国内セルビア人居住区(現クロアチアのリカ地方)で生まれ、1943年にアメリカで没した発明家・科学者。
死後、祖国に送られたニコラ・テスラのアーカイヴ(Nikola Tesla’s Archive)は2003年にセルビアの無形文化遺産として登録され、主な功績である交流電流、ラジオ、電動モーター、X線などは現在もわたしたちの生活に欠かせないものとなっており、セルビアの100ディナール紙幣に肖像画が用いられ、ベオグラード国際空港の名前にもなっています。
とはいえ、わたしも2015年のセルビア旅行では、この流し目の紳士について全くの無知。前日入りして「ニコラ・テスラ博物館」を見学したというツアーメンバーの話を、聞き流していたのを悔やむようになるのは、ごく最近の話。
その後、ご縁をいただいたセルビア共和国大使館では肖像画と銅像が玄関に設置され、講演では祖国の偉人としてたびたびその名を耳にします。
もっと、ちゃんと勉強してセルビアに行けば、料理以外にも、もっと多くのことを学べたのに。。。
4月19日の"エジソンのライバル天才テスラの謎★Serbian Nightバルカンツアー"では、日本で唯一のテスラ像製作に尽力された日本セルビア協会の平下治氏に講演いただくことができました。
会場は、北品川のKAIDO books & coffee。
東海道、第一の宿場町品川宿で旅をテーマにしたブックカフェです。
1月の『イェレナと学ぶセルビア料理』出版記念イベントでも大変お世話になりました。
テーマが発明、科学ということもあり、参加いただいたお客様は男性比率が高め。
民族舞踊がテーマの前回とはうって変わったイメージ。
書棚に囲まれた着席のテーブルセッティングは壮観で、アカデミックな雰囲気での幕開けとなりました。
セルビア文化の奥深さと可能性を感じます。
◆プログラム
・ニコラ・テスラについての講演 日本セルビア協会副会長 平下治氏
銅像製作や、1/26-3/3に山口県防府市で開催された『二コラテスラ展』のエピソードを交え、いつの間にかテスラを身近に感じ、ファンになってしまう熱いトーク。
平下さんのご厚意により『~発明超人といわれたセルビアの英雄~二コラテスラ伝』を当日のお土産にできましたが、残念ながら参加できなかった方のために”セルビアちゃんねる”の「ニコラ・テスラ博物館」の映像を紹介いたします。
ニコラ・テスラ博物館(前編)テスラコイルはやっぱりスゴかった!【セルビアちゃんねる】
後半は「二コラ・テスラ博物館」の方への貴重なインタビュー映像。エジソンとは本当に仲が悪かったの?火星と交信って??、などなど気になりますよね。
ニコラ・テスラ博物館(後編)本当のテスラとエジソンの関係が明らかに!プルス・ウルトラ、火星との交信も...全てテスラ博物館の人に聞いてみた! 【セルビアちゃんねる】
◆会食
後半は、会場後方のテーブルに移動しての会食。
今回も『イェレナと学ぶセルビア料理』掲載メニューを中心にメニューを組み立てましたが、発明家のテスラは食事も研究対象。野菜のすりおろしなどの流動食や、卵の白身などでは会食メニューにならないので^^; 美食家のティトー大統領にちなんだメニューと組み合わせました。
また、先日セルビアのお土産にいただいたラトゥルクもおすそわけ。
発祥地のトルコではロクムといい、友人たちの間では「セルビアの"ゆべし"」で通っていたのでセルビア語の名前を覚えるのに時間がかかったお菓子。
英語でTurkish Delight。旧ユーゴではトルコ語源のrahat lokum が詰まってratlukにな”ったそうです(”セルビアちゃんねる”お大塚さんより)。rahatは「歓び」のような意味だそうです。
Ratluk from Serbia / Turkish Delight セルビア土産のロクム
パンチの効いた甘さのあとに、ほんのりバラの香り。これだけじゃ足りなくなって
やはりトルココーヒーが飲みたくなる。
ナルニア国ものがたりの『ライオンと魔女』で、エドマンドが白い魔女の魔法にかけられたお菓子としても有名ですが、そういえば南の脅威として描かれるカロールメンは、オスマン帝国のイメージとも重なる部分があるので、西欧人から見た中央のエキゾチックな魅力の象徴でもあるのかな、と感じたのはまた別の話。。。。
メニュー:
Domaća Turšija / Homemade Pickles 自家製ピクルス
Podvarak / Sautéed Sour Cabbage サワーキャベツの温製
Ratluk from Serbia / Turkish Delight セルビア土産のロクム
Bareni krompir / Spicy Mashed Potato セルビア風じゃがいもの煮物
天才テスラの食事の秘密より
Uštipci / Croatian donut リカ地方のドーナツ
ティトー大統領のディナーより
Krem čorba od Celera / Cream Celery Soup セロリのクリームスープ
Karadjordjeva snicla / Rolled pork cutlet ロールカツレツ
Titova pita sa jabukama / Tito's apple pie ティトー大統領のアップルパイ
Uštipci / Croatian donut リカ地方のドーナツ
クロアチアを旅行中、どこへ行っても出てくるこのドーナツが、はずれなく美味しくて、レシピを知りたいと考えていましたが、Bravo!
『イェレナと学ぶセルビア料理』でニコラ・テスラの出身地であるクロアチアゆかりのメニューとして紹介されていました。
味の秘密は風味づけに使うラキヤとレモン。スイーツ好きだけでなく、ラキヤが好きな方にはぜひ試していただきたいドーナツです。
Krem čorba od Celera / Cream Celery Soup セロリのクリームスープ
秋から春にかけてはあたたかく、夏は冷製でお出しして、「材料は何ですか」と、よく尋ねられますが、セロリ、タマネギ、バター、牛乳、調味料と、とてもシンプル。
セルビアンナイトの人気メニューです。
Karadjordjeva snicla / Rolled pork cutlet ロールカツレツ
Karadjordjeva snicla “カラジョルジェヴァ・スニクラ”は1959年にチトー大統領の専属料理人であったミーチャ・ヨワノビッチが考案し、セルビア王家のカラジョルジェ家の名をつけた代表的肉料理です。いままではジャパニーズ・サイズにカットされた、ヒレカツ用の肉を叩いて使っていましたが、先ごろの「バルカンサイズに戻すよ宣言」に基づき、今回はかたまり肉からバルカンサイズに切り分け。
日本ではカイマックが入手不可なため、クリームチーズを巻き込んで仕上げました。
Titova pita sa jabukama / Tito's apple pie ティトー大統領のアップルパイ
リンゴの酸味とパウダーシュガーのほのかな甘みが絶妙のアップルパイ。
次のリンゴの季節まで、しばしお別れです。
お客様の間での会話がはずみ、どんどん距離感が縮まっていくこの時間がとても好き。
この仕事の醍醐味を感じるひとときです。
ご参加のみなさま、関係者のみなさま、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
次回のセルビアンナイトは5/19㈰です↓
serbiannightsnibuya8.peatix.com
(撮影:岸千鶴)
みなさまに、お会いできることを楽しみにしております。