セルビアワイン( Srpsko Vino)について③主な栽培ブドウ品種 2.黒ブドウ

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 セルビアで栽培されているワイン用ブドウの65%は白ブドウ、残りの35%が黒ブドウである。セルビアのブドウ畑もヨーロッパの他の地域と同様、フィロキセラ(19世紀にアメリカからの苗に寄生してきた、ブドウの根を食い荒らす虫)の被害により根絶の危機に瀕し、以降ほとんどの畑はアメリカ産品種の台木に接ぎ木をしたブドウに植え替えられている。

 北部から中央にかけては古代に堆積した砂質土壌であり、白ブドウの栽培に適している。地理的にもハンガリーとの国境に近く、ドナウ川流域で多くみられるリースリング(過去に混同されていたのか、はたまた人気にあやかった命名か、××リースリングという別品種の呼び名も散見)、フランスから導入したマスカット系の品種が多く栽培されている。

 

 正教会はローマ時代からの伝統を守り、赤ワインとパンを聖体としているため、黒ブドウの歴史は、白ブドウよりいっそう宗教の歴史と密接に関係している。紀元200年頃にはじまったワインづくりは、宗教や政策の影響による危機下でも修道院内で守られたため、白ブドウに比し、古代や中世からの土着品種が目立っている。

 

 ちなみに、収穫後に絞った果汁のみを発酵させてできるものが白ワインであり、もとの果実が白ブドウであるか黒ブドウであるかは問わない。黒ブドウを皮ごと発酵させたものが赤ワイン、白ブドウを同様に皮ごと発酵させたものが、近年注目のオレンジワイン(ものすごくざっくりな説明ですが)。では、ロゼは?スパークリングは?長くなるので、それはまたの機会ということで。

 

セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史
②気候・風土・土壌
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         
 2.黒ブドウ         ←いまここ
④ワインの法律と品種分類 
⑤ワインの産地と特徴
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり)

 

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セルビアワイン( Srpsko Vino)について③主な栽培ブドウ品種 1.白ブドウ

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 セルビアのブドウ品種についての調査にあたり「ブドウの品種を決定する際、人々は以前の経験に頼っていた。ブドウについての知識は口コミで伝えられることが一般的であったため、今日では誤りが見うけられる場合もある。文献を通じてブドウの品種を追跡することは、かなり難しい場合がある」との文章に出会い、激しく共感。。。

 この地域は文字資料の出現が遅く、口頭伝承の伝統が根強いことも背景にあるのでしょう。日本語による資料も乏しいなか、英語およびセルビア語版のWikipediaセルビア国内の果樹業者のページなど、できる限りの調べを尽くし、以下、セルビア国内で主要と思われる白ブドウ28種、黒ブドウ21種をとりあげた。

 土着品種および国内の交配品種については、歴史的な背景や品種の特性、ワインの特徴を記載した。国際品種に関しては、ほかの国でもそのワインを味わうことが可能なため写真とセルビア国内での名称、主要産地(わかる場合は)程度にとどめた。国際品種の場合は、同じ品種を国違いで飲み比べるのも一興である。

 

セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史
②気候・風土・土壌
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         ←いまここ
 2.黒ブドウ
④ワインの産地と特徴
⑤ワインの法律と品種分類
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり)

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セルビアの雑誌『ポリティカ』(Политика / Politika)に掲載されました

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  9月6日発売のセルビアの雑誌『ポリティカ(Politika)』に、自作の「バルカン弁当」が掲載されました。

 2月からの営業自粛期間中、それまで不規則だった食生活を見直し、平日の昼食はお弁当を自炊しています。もともと純粋な和食が基本というわけでもなく、Serbian Nightは開催せずともセルビア料理は食べたい。バルカン料理欠乏症を抱えつつ、SNSにアップしていた日々のお弁当がセルビアでお世話になった方の目に留まり、ご紹介くださいました。

 誌面はキリル文字によるセルビア語。自力での解読は不能でしたが、セルビア語が堪能な友人が解説してくれたところ、写真に添付した説明文をそのまま掲載してくださったようです。みなさま、ありがとうございます。

 

以下、添付した説明文の和訳と原文

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「バルカン弁当」の作り方:
 日本人は昼食を弁当箱と呼ばれる小さな箱に詰めて運びます。日本の「おむすび弁当」から着想を得た「バルカン弁当」は、レピニャピタパン)におかずを詰めて作ります。
 レピニャを半分に切り穴をあけます。次に好きなものを詰めます。この日は1.たまごサラダ 2.トマトサラダ 3.レバーペーストとポテトサラダ 4.ベーコンとアイヴァル(パプリカペースト)を詰めました。チェヴァプチッチを入れるときもあります。

 

「おむすび」とは:
 「おむすび」は「おにぎり」とも呼ばれ、米を使った日本の伝統的な食べ物です。ご飯の真ん中に具を載せ、丸や三角に包んで海苔でくるみます。梅干し、焼き鮭、昆布、タラコなどが伝統的な具材です。現在は種類も豊富になり、ツナマヨや天むすなども人気です。海苔の代わりに牛肉を巻いたおにぎりを見つけることもできます。
アイヴァル(パプリカペースト)や、ウルネベス(パプリカ風味のチーズペースト)も入れることができそうです。

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セルビアワイン( Srpsko Vino)について②気候・風土・土壌

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Serbia com. Dragoljub Zamurović – Serbia, life and customs

 主題の「ワイン」からは少し離れてしまいますが。パプリカの実りで真っ赤に染まる大地の写真を目にするたびに、セルビアのこの土壌の豊かさの秘密は何だろう・・・と、常々頭をひねっておりました。

その長年の疑問の答えが、いまここに。

 

 

 

セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史
②気候・風土・土壌      ←いまここ
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         
 2.黒ブドウ         
④ワインの産地と特徴
⑤ワインの法律と品種分類
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり)

 

 ワイン産地の分類は、植生、地域の気候の一般的な特性に基づいて行われる。セルビアは、中央ヨーロッパと南東ヨーロッパの交差点に位置し、北部のカルパチア山脈アルプス山脈・ディナル・アルプス山脈の尾根に囲まれた肥沃な盆地の南端から、南東の古代の山と丘に及んでいる。国土は高品質のブドウの収穫がみこまれる北緯41度から47度の間の「ワインベルト」内に位置している。世界のトップワインのほとんどは、地中海(トスカーナなど)、沿岸(ボルドーなど)、または大陸(コロンビアバレーなど)の気候地域に属しており、北半球と南半球の緯線の30°から50°の位置を占めている。
 ブドウの成熟は気温と現在の土壌水分に依存し、気温が+ 27°Cになると、ブドウの木の生理的プロセスが始まり、ブドウが成熟する。気候ワインの地域の違いにつながる特徴の1つは、熟成中にこの最適温度に達するまでに必要な時間の長さである。また、降水量と追加の灌漑の必要性の有無も重要である。風、気圧、毎日の気温の変化など、ブドウの成熟に影響を与えるその他の気候要因は、気候地域によって異なる。

 セルビアの国土の総面積88,509㎢(コソヴォ自治州を含む)は北海道ほどの大きさであり、その65%を農地が占めている(2015年)。ドナウ川が588 kmに渡り国土を横断し、西からのサヴァ川、北からのティサ川と合流ののち、南でボスニアおよびヘルツェゴビナとの境を流れるドリナ川、北西でクロアチアとの境を流れるモラヴァ川を集めて南東でルーマニアとの国境を形成している。

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セルビアワイン( Srpsko Vino)について①歴史

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 今年の夏が、いつもと同じ夏であれば8月の終わりから9月のはじめにかけ、セルビアでワインとラキヤの収穫と醸造について学ぶ予定でした。Covid-19の影響により、あいにく「ステイ・ホーム」の夏となりましたが、日本で調べられる限りの情報で学びを重ねていきます。

 

前記事の、『セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について』に続き、ここからはセルビアのワイン(Srpsko Vino)についてのまとめです。

 

 

セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史            ←いまここ
②気候・風土・土壌
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         
 2.黒ブドウ         
④ワインの産地と特徴
⑤ワインの法律と品種分類
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり)

  

 セルビアで、レーズンとワインの生産に適したヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)種のブドウはロザ(Loza)と呼ばれ、それ以外の別のブドウ(グロージャGrožđa)と区別されている。ロザの語源は、スラヴ語の動詞laziti、lestiである。ブドウの樹もヴィノヴァ・ロザ(vinova loza)という名を持ち、Lozaという言葉はワイン用ブドウの樹に厳密に関連付けられている。

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/82/Carska_palata_Sirmijum1.JPG/1280px-Carska_palata_Sirmijum1.JPG

シルミウム遺跡 

 バルカンの激動の歴史は、ブドウ栽培の発展における浮き沈みに影響を与えた。バルカンで最初に報告されたヴィティス・ヴィニフェラ種のブドウは、新石器時代に野生ブドウの形で発生した。セルビアの領土におけるブドウ栽培の初期の痕跡は、歴史家のディオカシウス(紀元前40〜110年)とストラボ(紀元前63/64年-紀元前24年)により、現在のヴォイヴォディナ州にあるシルミウム遺跡で、鉄器時代青銅器時代(紀元前400〜200年)に属するイリュリア人とケルト人による化石が発見された。また、ベオグラード地方のヴィンツァ遺跡(Vinča)でも、野生のブドウが発見されている。イリュリヤ人、トラキア人、ケルト人は、この地域にローマ人が到着する前でさえ、この地域でブドウを栽培していたが、科学的な調査では、ヴィンツァで見つかったアンフォラがワインまたは発酵小麦から作られた今日のビールと同様の飲み物を含んでいたことは確認されていない。ローマ皇帝ドミティアヌス(西暦56〜96年)はバルカン半島の州でブドウの栽培を禁止し、この禁止令は約100年間続いた。

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