2018年4月 醤油の学校・前編
和食の基本はさ・し・す・せ・そ。
砂糖・塩・酢・醤油・味噌。
自家製の手前味噌を仕込んだら、市販品との風味の違いに驚き。
それまで野菜スープ中心でほとんど飲まなかったお味噌汁をほぼ毎日つくるようになりました。
勝手がわからず6kgも出来てしまったけれど、着実に消費しています。
そして、醤油も自家製できるらしいと知ったのは昨年のこと。
スケジュールがあわず参加できなかった「醤油の学校」に念願叶って参加してきました。
都内での開催です。
講師は震災後にご縁をいただいた陸前高田の八木澤商店社長 河野通洋さん。
2013年に一ノ関の新工場を見学し、醤油に興味を持つきっかけとなりました。
醤油の香りは300種類の集合体であること、丸大豆醤油と廉価版の醤油との違い、知っているようで知らなかった知識を得ました。
その後も何度か見学に伺い、支援やお土産で購入をはじめた商品がいつしか我が家の定番に。『君がいないと困る』商品のとおりとなりました。
だから、醤油のつくり方なんか教えたら、売上が減ってしまうんじゃない?
と心配しつつエプロン持参で出席したところ、いいんですって。
国内の売上が減っても輸出するから。
さすがです。
とうことで、講義スタート。
醤油の原料は
大豆と
小麦。
八木澤商店では岩手県の推奨品種を使用しているそうです。
このふたつに麹を加え、3日間おいておくと
種麹ができます。
大豆の乾燥度合いや、たんぱく質と脂質の量。
小麦に含まれるたんぱく質と澱粉の量も重要で、炒ったのち4つに砕くということで、八木澤商店で使用している種麹が配られました。
水は八木澤商店で使用している井戸水、炭酸水、硬水のなかから選択。
テイスティングして美味しかった井戸水を選びました。
各自持参した塩をそれぞれ自分が選んだ水に溶かし、完全に溶かします。
菜箸の親分のような棒で、ぐるぐるぐるぐる。
塩と水の組み合わせによって食塩水の色や溶け具合がまったく異なります。
おもしろーい。
ミネラルの多い塩や焼き塩は溶けにくいそうで、ミキサーの力を借ります。
わたしの伯方の塩は完全に溶けた後も、やや乳白色。
にがりのせいらしい。
食塩水に種麹を投入。
この時点で麹菌は死滅するのだそうです。
えーーーーっ?菌が死んでなぜ醤油になる???
頭のなかは疑問符だらけ。
麹の役目は、小麦が糖化する酵素をつくることと、大豆のたんぱく質を分解するところまでなんだそうです。
大豆に傷がつかない程度にかき混ぜ(あら櫂)ます。
「櫂で溶かすな、麹で溶かせ」というそうです。
なるほどー。
あとは、このまま常温におき、月に数回容器の蓋をあけ瓶の内側を塩水で拭うだけ。
酵母菌が出てきて、乳酸発酵、アルコール発酵と進み、首都圏の気温の場合6か月程度で味見が可能。
ぬるりとした産膜酵母が張っても沈めればよし。
白い粒粒が出てきても心配なし。
写真の瓶は、昨年の4月にイタリアの塩と水で仕込んだ醤油で、この色合いと香りになったら完成という見本。
8か月程度で完成。ゆっくりと熟成させたい場合は気温の低い場所で保存すればよいそう。出来そうな気がしてきました。
ふだん食べているものは火入れと微生物を濾過してあるのだそう。
使う分だけコーヒーフィルターで搾った、できたての生醤油はサイコーらしい。
搾った後のもろみは、肉や魚を漬け込むといいらしい。
もろみベーコンとか、やってみたいな。
気仙沼で水揚げされた魚で生醤油の味見。
同じ種菌を使っても、保管場所の温度や、常在菌によってまったく異なる味の醤油ができあがるとか。
舌がガイジン化しているわたしは、ワイン樽で仕込んだ醤油や、青海苔の風味づけしてあるものが親しみやすい味。
ここ数年仕事でつくっていなかった、ちらし寿司や稲荷寿司のリクエストもちらほら聞こえてきたから、新米の頃に自家製醤油で出したいなー、と思い描いたりも。
もちろんバルカン半島の塩と水で仕込むとどうなるかも興味あるし。
完成の折に持ち寄って味見をしあう会があるので、今から冬が楽しみです。
河野社長はじめ、八木澤商店、アンドレシピ
関係者のみなさま、ありがとうございました。