篠笛とアコーディオンによる日本とセルビアの調べ

11月22日は、在日セルビア共和国大使館で開催された「篠笛とアコーディオンによる日本とセルビアの調べ」の第二部懇親会で料理を担当しました。

 

第一部のコンサートが終了し、正面の奥の大きな扉が開くと広間は華やかなパーティ会場に。食べて美味しいのは言わずもがな。演出はその一瞬に賭けています。

 

セルビアンナイトをはじめてからのこの3年間、どれだけのリミッターを振り切ってきただろう。料理人としては遅いスタートですが、それまで積み重ねた経験で扉の向こう側のお客様の気持ち。主催者や裏方の気持ちがわかります。

 

自分で設けていた限界のひとつひとつをもはや思い出すことはできませんが、どんな大きな場面でも、よけいなことを考えるとミスを招く。ドアが開いた瞬間みなさんに「わぁっ」と喜んでもらえるよう、メニューに知恵をしぼり、淡々と仕込みをし、そのときどきの自分にできる最上のおもてなしを考える。

 

それでも、この11月には在日セルビア共和国大使館で開催の「セルビアの若手ピアニスト イヴァン・バーシッチリサイタル」「『イェレナと学ぶセルビア料理』出版記念レセプション」、そして今回と、いずれもお客様が100名前後という大きな仕事が続き、大きな山に登るような心持ち。

  

これをやり遂げたらいままでとは違った景色が見えるような気がして、いつもよりすこし坐った肝で臨みました。

  

 ◆プログラム
第一部 篠笛とアコーディオンによる日本とセルビアの調べ
   1.「異邦人」
   2.「リンゴ追分」
   3.「人生のメリーゴーランド」-「ZovSumadija」 
   4. 「かぐや」朱鷺たたら作
   5.「Merakli cocek」 
   6.「花は咲く」-「Kolubarskivez」
   7.「Ederlezi (Djurdjevdan)」 
   8.「ファイアーバレイ」朱鷺たたら作
   9.「情熱大陸のテーマ」5分葉加瀬太郎
   10.「ベオグラードの4月」
   11.「セルビアのダンス曲メドレー

     (Oj moravo - Nova zajecarka - Banjski cacak)」
【アンコール】
   12.「ヴラニェのダンス曲(Vranje)」

   13.「Tamo daleko」

 

篠笛とアコーディオン、ヴァイオリンで演奏された民族舞踊の音楽。

壁を隔てたキッチンまで聞こえてくる音色が篠笛の音が、焦る心を静めてくれました。

 

◆プロフィール
 
竹下史子(たけした ふみこ)
日本でバルカン地方のフォークダンスを習ったことがきっかけで、セルビア音楽に興味を持つ。セルビアの首都ベオグラードに住み、セルビアアコーディオンエストロ、ツァーレ・ミトロヴィッチ氏に6年間師事。
現在はベオグラードの著名な民族舞踊団グラディミルに所属。ソロ・アコーディオニストまたは舞踊団の一員としてセルビアでのコンサートやテレビ番組に多数出演。在日セルビア共和国大使館をはじめ日本でも公演を行う。
セルビア民族音楽や奏法についても研究しており「セルビアを知るための60章 (明石書店) 」では、セルビア民族音楽と舞踊について寄稿。在日セルビア共和国大使館でセルビア音楽についての講演を行う。
 


Странац у Србији Фумико Такешита Кнежевић, 01.03. 2013

セルビア製作された竹下さんのドキュメンタリー。

超絶技巧のアコーディオン演奏もご覧いただけます。

 

どこか懐かしく、日本人の魂に迫る竹笛の調べを、現代の人々の心にどう響かすかをテーマに活動。
古典に独奏曲を持たない篠笛の可能性を追求するべく、作曲、演奏活動を行う。日本の伝統的な古典奏法と西洋音楽の学びで培ったテクニックを併せ持ち、高度な技術を駆使した演奏スタイルは、各方面から高い評価を得ている。
芸名に負う「たたら」は、中世の製鉄技法たたらに衝撃ともいえる感動を受けて名付けたもの。先人たちから受け継ぎ、自らの中にも息づく、ものを創るという力のみなもとを、笛に託す。
オリジナル作品集CDのほか、参加CD多数。
みずからの門下・朱鷺会主宰。一般社団法人 日本篠笛協会理事。岡山県新見公立大学非常勤講師。

 


「かぐや」朱鷺たたら演奏す!

今回のプログラムでも演奏された朱鷺たたらさんの「かぐや」

 

 

第ニ部 懇親会
 セルビアのワイン、ラキヤ、軽食。

 

盛り付けはいつも瞬発力の一発勝負。日頃の真価が問われます。

今月は短い期間に3連続の機会をいただいたので、あぁすればよかった、もっとこうもできたはず、という課題を忘れないうちに次に生かせたのが有難い。

 

ハーブやエディブルフラワーが足りたこと。パン・ド・セーグルの胴体にリボンを巻いて、セルビアのカッティングボードに載せられて満足。南部鉄器の燭台を買い足して、ふたつお揃いにできたこと。ホルダーを忘れたけれどメニューカードは直置きでむしろよかったことなど、地味に納得しています。

 

・Ajvar / Roast Paprika Spread ローストパプリカのスプレッド
・Kuzumaki Plateau Rančev Sir / くずまき高原牧場チーズ
・Sušeno Voće / Dried Fruits ドライフルーツ
・Grissini / グリッシーニ
・Pain de Seigle / パン・ド・セーグル「シェ・リュイ」
・Turšija / Pickles ピクルス
・Ćevapi / Balkan Sausage ケヴァブ
・Krompir Pire / Mashed Potato マッシュポテト
・Gulaš / Cowboy Soup グーラシュ
・Kiflice / Rolled Bread キフリツェ
・Kolač sa makom / Poppy Seed Cake ケシの実ケーキ
・Lenja Pita / Lazy Apple Pie なまけもののアップルパイ
・Ćokolada / Chocolate チョコレート
・Mandarina narandžasta /Mandarin'orenji みかん

 

 

・Ajvar / Roast Paprika Spread ローストパプリカのスプレッド・Kuzumaki Plateau Rančev Sir / くずまき高原牧場チーズ

 

定番のアイヴァル。3回連続で参加されるお客様も居られるので、すこしづつ趣向を変え、今期はクリームチーズをトッピング。 

 

 

・Sušeno Voće / Dried Fruits ドライフルーツ

 

 

・Turšija / Pickles ピクルス

日本でお馴染みの酢漬けとは違い、セルビアのピクルスはトルコ風のスパイスを聞かせた塩味。市販では手に入らないので手作りし、多くの方に届くようカップで盛り合わせ。

 

 

・Ćevapi / Balkan Sausage ケヴァブ・Krompir Pire / Mashed Potato マッシュポテト

皮なしソーセージのチェヴァピは、バルカン地方でも人気の食べもので、セルビアンナイトでもお客様からのリクエストではじめました。

炭火がベストですが、出張先の設備によりオーブンやフライパン、ホットプレート等、そのときどきの状況に応じて調理法を変えざるを得ません。

ただ、どんな風に焼いてもはずれがないのがチェヴァピのよいところ。温かくなくても美味しかったと言ってもらえるので「冷めてもウマい」ウリをしようかと。

 

タマネギの粗みじん切りを添えるのが定番ですが、今回はマッシュポテトと盛りあわせました。

このマッシュポテトは牛乳と植物油で風味づけしてありますが、ニンニクやローリエ、パプリカなど、さまざまなバリエーションがあり、ジャガイモの付け合わせさえも侮れません。

さすがの美食大国です。

 

 

・Gulaš / Cowboy Soup グラーシュ

温かいものを一品、と考えたハンガリー発祥のグラーシュはセルビアでも人気の煮込み料理です。食べやすいようカップに盛り付けました。

 

 

・Kiflice / Rolled Bread キフリツェ

ベーコンとチーズ入りのキフリツェは定番メニュー。

 

・Kolač sa makom / Poppy Seed Cake ケシの実ケーキ・Lenja Pita / Lazy Apple Pie なまけもののアップルパイ・Ćokolada / Chocolate チョコレート

9日のピアノリサイタルで好評だったケシの実ケーキを今回も持参。

もはや安定の人気で看板メニューになりそうです。

 

 

・Pita iz Tatjane / Pita from Tatiana タチアナさんのパイ

 ターニャさんに差し入れいただいたポテトのパイ。

美味しかった!温めで出せば、もっとよかったなー。。。。

 

そのあたりの臨機応変な対応力をもっと養おう。

がんばれ、あたし。

 

 

 

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ネナド・グリシッチ大使と

きのうは大使がキッチンに来てくださいました。
いつも舞い上がって忘れ後悔するのですが、めずらしくお願いできたツーショット写真を記念に掲載。

 

 

 

ご参加のみなさま、在日セルビア大使館、セルビア日本音楽交流推進の会をはじめ関係者のみなさま、ありがとうございました。

 

今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

 

p.s.

ameblo.jp

 

Pasulj / Wshite Bean Soup 豆のスープ

篠笛奏者 朱鷺たたらさんのブログ↑にも登場した、パーティ後にお相伴した大使館職員お手製の豆のスープ。さすがの美味さ。

いままで何度か「作れる?」と聞かれたけれど、メニューで出したことはなかった。

レシピを探してわたしもつくってみよう。

 



次回12/12㈬のランチメニューのスープにできるかも。

Serbian Night Café @鎌倉 ソンベカフェ Vol.12

  

 

peatix.com

ディナーは1/16㈬に正教会のクリスマスメニューを予定しています。

 

 

 

 

 

serbian-night.com