セルビアワイン( Srpsko Vino)について⑤ワインの産地と特徴 2.ヴォイヴォディナ地域、コソヴォ地域

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 セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史
②気候・風土・土壌
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         
 2.黒ブドウ         
④ワインの法律と品質分類
⑤ワインの産地と特徴
 1.セルビア中央地域
 2.ヴォイヴォディナ地域、コソヴォ地域 ←いまここ
⑥参考書籍・参考サイト
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり)

 

2.ヴォイヴォディナ(Vojvodina)地域
 サヴァ川とドナウ川の北に位置するヴォイヴォディナ地域に広がるパンノニア平原は、古くは海底であった。ヨーロッパでもまれな肥沃な砂原が広がり、スボティツァ(Subotica)地方の肥沃な土壌はブドウの栽培に最適である。北部では豊かな酸味の最高品質の白と軽やかな赤、南部では芳醇な香りの白とフルボディの赤ワイン作られている。7つの地域の17地区でブドウ栽培が行われている。現在、ヴォイヴォディナ自治州スレム郡の行政的な中心都市であるスレムスカ・ミトロヴィツァ(Sremska Mitrovica)は、紀元3世紀にはローマ帝国の4つの首都の1つであった。フルシュカ・ゴーラ国立公園の全長80kmに及ぶ丘陵の斜面では、ローマ時代からブドウ栽培が盛んでワインの産地として有名である。  

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Vinogradarski-rejoni-Srbije.jpg(地図上丸数字は筆者が追加) 

PDO / PGIの地理的表示(oznake geografskog porekla)
⑭スレム地方(SREMSKI REJON)
⑮スボティツァ地方(SUBOTIČKI REJON)
⑯テレチカ地方(REJON TELEČKA)
⑰ポティシェ地方(POTISKI REJON)
⑱バナト地方(BANATSKI REJON)
⑲ユジュニバナト地方(JUŽNOBANATSKI REJON)
⑳バチカ地方(BAČKI REJON)
㉑北メトヒヤ地方(SEVERNOMETOHIJSKI REJON)
㉒南メトヒヤ地方(JUŽNOMETOHIJSKI REJON)

 

 

⑭スレム地方(SREMSKI REJON)
 スレム(Srem)地方のワイン生産地域は、ぶどう畑や果樹園に理想的な北向き(ドナウ川)と南向き(サバヴァ川)の肥沃な斜面にあり、国立公園のエリアを囲んでいます。フルシュカ・ゴーラ(Fruška Gora)山の頂上を囲む美しい国立公園は、「セルビアの宝石」とも呼ばれている。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/32/Probus_gold_coin.jpg/220px-Probus_gold_coin.jpg  Marcus Aurelius Probus (232-282)
 ローマ帝国皇帝マルクス・アウレリウス・プロブス(Marcus Aurelius Probus)がこの地方のネシュティン(Neštin)の村の山の斜面に最初のブドウを植えてから約1700年が経過した。15世紀から18世紀に南部からの多くの修道院が北に移動し、ドナウ川パンノニア平野の肥沃な地域であるシルミアの間の離れた丘に定住した。これらの修道院はブドウの栽培を始め、現在に至るまで蜂蜜やワインが生産されている。

 

  ベルメット(Bermet)という芳醇なデザートワインのハーブの処方は、世代を超えて受け継がれる秘伝である。スレムスキ・カルロヴツィ(Sremski Karlovci)の町とその周辺でのみ生産されており、オーストリアハンガリーの宮廷をはじめ、ヨーロッパの上流社会でも愛用されていた。豪華客船タイタニック号のワインリストにも採用されていた。また、乾燥ブドウで作られたデザートワイン、アウスブルク(Ausburch)のレシピは、スレムスキカルロヴィの町がオーストリアハンガリー統治下にあったときに、ウィーンの宮廷から地元のトップワイン生産者に受け継がれたものである。
56.フルシュカ・ゴーラ(Fruška Gora)地区
主な栽培品種:(白)シャルドネムスカット・クロカン、フルシュカ・ゴーラ・リースリング、シュプリャンカ、トラミナック、ソーヴィニヨン・ブランネオプランタ、フルミント/(黒)ポルトギーザー、ヴラナッツ、カベルネ・ソーヴィニヨンカベルネ・フランメルロー、プロヴディーナ、シラー、スランカメンカ、カダルカ

https://vinoitakoto.com/wp-content/uploads/2015/02/Kis-Bermet-beli.jpgf:id:ladybug-noriko:20201006215055j:plain1※2日本未入荷)

原産地呼称:「ビセルノ・オストロヴォ」区画のマスカットクロカン(Biserno ostrvo, muskat krokan)/ベルメット(Bermet)※1/カルロバッツのリースリング(Karlovački rizling)辛口/やや辛口※2/ソンボルの羊乳のハードチーズ(Somborski sir)/スレムの「クーレン」ソーセージ(Sremski kulen)/スレムの自家製ソーセージ(Sremska domaća kobasica)/スレムのサラミ(Sremska salama)/フルシュカ・ゴーラの菩提樹蜂蜜(Fruškogorski lipov med)/フトグのキャベツとザワークラウト(Futoški sveži i kiseli kupus)

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郷土料理:ロールキャベツ(Sarma)ポドヴァラック(Podvarak)/カボチャ/シュトルーデル

 

 

⑮スボティツァ・ホルゴス地方(SUBOTIČKI REJON)
 ハンガリーとの国境沿いのスボティツァ・ホルゴス(Subotica-Horgos)地方は、先史時代のパンノニア海が残した砂地が広がっている。生産地域は、東部と西部のそれぞれ別の地区で構成され、最大の生産地域はパリッツ地区である。フィロキセラの流行がヨーロッパのブドウ畑の多くを破壊した時期に、この地域は被害を免れ、現在も古代の品種が栽培されている。
57.リディツァ(Ridjica)地区
58.パリッツ(Palic)地区
59.ホルゴス(Horgos)地区
主な栽培品種:(白)イタリアンリースリング、ライン・リースリングピノ・ブラン、シャルドネソーヴィニョン・ブラン、ディンカ、スレムスカ・ゼレニカ、バカトール(Bakator)マンゾーニ・ビアンコ(Manzoni Bianco)、メデナッツ・ベリ(Medenac Beli)/(黒)カダルカ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルローピノ・ノワール


Bezdanski damast

原産地呼称:ベズダンのダマスク織(Bezdanski damast)

 

⑯テレチカ地方(REJON TELEČKA)
テレチカ(Telečka)地方のワイン生産地域は、テレチカ・コサ(Telečka Kosa)とテレチカ高原の領域であるバチカ(Bačka)の中心部に位置している。最大のワイン生産地域はサパドナ(Zapadna)地区である。
60.西テレチカ(Western Telečka / Telečka kosa)
61.中央テレチカ(Central Telečka / Bačka Telečka)
62.東テレチカ(Eastern Telečka / Mali Idjos)
主な栽培品種:(白)ライン・リースリング、イタリアンリースリングピノ・ブラン、ピノ・グリ、ソーヴィニョン・ブランシャルドネ、ディンカ、ネオプランタ、シーラ/(黒)ブラウ・フランキッシュ、カダルカ、プロブス、ピノ・ノワール、ガメイ、メルロー
 

⑰ポティシェ地方(POTISKI REJON)
 ポティシェ/ティサ川流域(Tisa / Potisje)地方は、ティサ川東西沿岸地区カンジジャ(Kanjiža)から北に伸び、南のドナウ川の合流点まで達している。最大の生産地域はポティシェ・スヴェール(Potisje-Sever)地区である。
63.北ティサ(Northen Tisa / Potisje)
64.中央ティサ(Southern Tisa / Potisje)
65.南ティサ(Down Tisa / Potisje)
主な栽培品種:(白)トラミナック、ソーヴィニョン・ブランシャルドネ、モラヴァ/(黒)ピノ・ノワールカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、プロクパッツ
 

⑱バナト地方(BANATSKI REJON)
 ルーマニアとの国境近くのバナト(Banat)地方は、ヴルシャッツ(Vršac)山とバナト(Banat)平原に位置し、この地方での高品質なワインづくりの先駆地である。キキンダ(Kikinda)と中央バナト郡(Banat-Srednji)で構成され、最大のワイン生産地域はキキンダである。稀少な土着品種の白ブドウ、クレアカの本拠地である。
66.キキンダ(Kikinda)
67.中央バナト(Central Banat)
栽培品種(白):クレアカ、スメデレヴカ、ジュプリャンカ、ムスカット・オトネル、リースリング・イタリコ、シャルドネピノ・ブラン/(黒):フェアテスカ・ネグラ

https://cdn.shopify.com/s/files/1/1232/4978/products/banatski_rizling_1l_520be8bb-7598-4823-960d-149294e365ad.jpg?v=1600450271(※3日本未入荷)

原産地呼称:バナトのリースリング(Banatski rizling)※3/エシャニの鯉(Ečanski Šaran)/ヴルビカのニンニク(Vrbički beli luk) 

 

⑲ユジュニバナト地方(JUŽNOBANATSKI REJON)
 ユジェニバナト(Južni Banat)地方は、南バナト郡(Južni Banat)南東部のヴルシャツ山西側斜面、およびデリブラツカ・ペスツァラ(Deliblatska peščara)地区にある。最大のワイン生産地域はヴルシャツである。
 ヴルシャツ(Vršac)のワイン醸造が古代にさかのぼるとことができる。バナトの穏やかな平野とヴルシャツ山脈の90〜250mの高度と穏やかな大陸性気候が、この地域のワインの本格的で洗練された味をもたらしている。ワイン醸造に理想的な条件が得られ、高品質の白ワインが生産されている。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4e/Grb_Vrsac.jpgВршац - Wikipedia
 この地域のワインに関する最初の記録は、1494年に経済学者ブディマ(Budima)が、ハンガリー王ラディスラウス(Ladislaus)のために10.5金フォリント(forints)でヴルシャツワインの樽を購入したという裁判所の記録である。19世紀にはヴルシャツのブドウ畑はハンガリー王国で最大であり、ヨーロッパでも最大級の10,000haに広がっていた。1804年以来、ヴルシャツ市の紋章にはブドウが用いられている。1875年には記録的な収穫が行われ、5600万ℓのワインが生産された。農業は完全にワイン造りに集中していたので、ヴルシャツの人々は生活を維持するために小麦を輸入しなければならないほどであった。現在も手摘みによる収穫が行われ、最盛期には800-1200人の季節労働者が雇用されている。また、何世紀にもわたる伝統に則り多くのワインが木製の大樽で保管されている。


VINO FEST 2017. VRSAC

68.ヴルシャツ(Vršac) 地区
69.ベーラ・ツルクヴァ(Bela Crkva)地区
70.デリブラツカ・ペスツァラ(Deliblatska peščara)地区
主な栽培品種:(白)イタリアンリースリング、ライン・リースリングピノ・ブラン、シャルドネ、マスカットオットネル、トラミネール、クレアカ、スメデレフカ、シュプリャンカ、シャスラ/(黒)ムスカット・ハンブルクフランコヴカ
原産地呼称:ヴルシャツのチャンピオンビール(Vršačko šampion pivo)/ヴルシャツのハム(Vršačka šunka)

 

⑳バチカ地方(BAČKI REJON)
 バチカ(Bačka)地方は、点在するテメリン(Temerin)、バチキ・モノシュトル(Bački Monoštor)、カラヴコヴォ(Karavukovo)の3地区で構成されている。この地方ではスレムスキ・カルロヴィツの果物ブドウ栽培研究所で開発された品種の栽培も多く行われている。


11.バチキ・モノシュトル(Bački Monoštor)地区
72.クラヴコヴォ(Karavukovo)地区
73.テメリン(Temerin)地区
主な栽培品種:(白)ディンカ、ジュプリャンカ、パンノニアネオプランタ、シーラ、ピノ・ブラン、ピノ・グリ、イタリアンリースリングソーヴィニョン・ブラン、ライン・リースリング/(黒)メルロー、ガメイ、ブラウ・フランキッシュ、ピノ・ノワール、プロブス
原産地呼称:アパティンの「jelen」ビール(Apatinsko jelen pivo)/ペトロヴァツのソーセージ(Petrovska Klobasa, Petrovačka kobasica)/レメシュの「クーレン」ソーセージ(Lemeški kulen)

3.コソヴォ(Kosovo)地域
 コソヴォのワイン産業は2つの法律に準拠している。すなわち2つのワイン地域(北メトヒジャと南メトヒジャ)を定義するセルビアのワイン法と、地元のアルバニア人が採用し、2つのワイン地域(ドゥカジニ地域とコソヴォ)を定義するコソヴォワイン法である。
 南セルビアのワイン生産は、中世ネマンチッチ王家の時代にコソヴォとメトヒヤから始まった。南部に位置するコソヴォ地域は、山地の多い大陸性の気候を有し、中世からはじまるブドウづくりが修道院で続けられている。この地方は、中欧南欧アドリア海黒海をむすぶ地点に位置し、山地の多い大陸性の気候である。UNESCO世界文化遺産に登録されている正教会修道院が、デチャニ、グラチャニツァ、ベーチ、プリズレンの各地にあり、修道院のぶどう畑でつくられる葡萄酒は、コソボ・メトヒヤ・ワインとして、とくに人気を博している。北メトヒヤ最大のワイン生産地域はイストク(Istok)、南メトヒヤ最大のワイン生産地域はオラホヴァツ(Orahovac)である。
㉑-74北メトヒヤ地方(SEVERNOMETOHIJSKI REJON)
㉒-75南メトヒヤ地方(JUŽNOMETOHIJSKI REJON)
主な栽培品種:(白)スメデレフカ、イタリアンリースリングシャルドネ、ラインリースリング、ジュプリャンカ/(黒)ヴラナッツ、テラン、プロクパック、ピノ・ノワール
原産地呼称:コソヴォの畑「アムセルフェルト」「黒い鳥の畑」「シャン・ド・メール」(Kosovo polje „Amselfeld“, „Field of the black bird“, „Champ de merle“)/コソヴォのアムセルフェルダー・ワイン(Kosovsko vino “Amselfelder”)/プリズレン(Prizren)/メトヒヤ(Metohija /Metohy)
郷土料理:淡水魚(マス、ウナギ、ナマズ、コイ、チャブ、カワカマス、ザリガニ)

 

⑤ワインの産地と特徴 1.セルビア中央地域  に戻る  

⑥参考書籍、参考サイト に続く

  

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