セルビアワイン( Srpsko Vino)について⑤ワインの産地と特徴 1.セルビア中央地域

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 セルビアでは、地理的な位置と気象条件により、国のほぼすべての地域でブドウ栽培が可能である。ワイン産地は1970年代に9つの地域と、それぞれいくつかの地区に分類されていた。2013年の原産地呼称の制定と産地の再分類により、22の地方(Rejonizacija)が定義され、2015年の改正により中央セルビア、ヴォイヴォディナ、コソヴォの3つの地域と、75地区に細分された。
 ローマ皇帝プロブスによりワイン醸造の技術が伝えられた、ヴォイヴォディナ地域のスレム地方では、1700年に及ぶワインづくりが行われている。また、フィロキセラの被害を免れたスボティツァ・ホルゴス地方では、現在も古代品種が栽培されている。
 中央セルビア地域には、中世ネマニッチ王朝ゆかりのトリモラヴェ地方、オブレノヴィッチ王家のブドウ畑がおかれたベオグラード地方、カラジョルジェヴィッチ王家のワインセラーが現在も守られるシュマディヤ地方がある。また、ネゴティン渓谷地方に残るワイン蔵の村など、独自の文化もみられる。

 以下、22のそれぞれの地域の特徴および生産品種をまとめた。また、地酒とともに郷土料理を楽しめるよう、その地方および近郊でセルビア国内の知的所有権機関に登録されている原産地呼称(Ukupno 57 domaćih oznaka geografskog porekla)、各地の郷土料理、日本で入手可能な銘柄なども併記した。
 

 セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史
②気候・風土・土壌
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         
 2.黒ブドウ         
④ワインの法律と品質分類
⑤ワインの産地と特徴
 1.セルビア中央地域     ←いまここ
 2.ヴォイヴォディナ地域、コソヴォ地域 
⑥参考書籍・参考サイト
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり)

  

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Vinogradarski-rejoni-Srbije.jpg(地図上丸数字は筆者が追加) 

1.中央セルビア(Centralna Srbija)地域
 コスマイ(Kosmaj)山、ルドニク(Rudnik)山、ヴェナチャク(Venačac)山のふもとの丘の上に広がるベオグラードでは、ドナウ川とサヴァ川の合流地点にある。中央セルビア地域は13地方の57地区でブドウが栽培されている。
 ルーマニアの国境近くには、ヨーロッパ最大・最長のジェルダップ(Đerdap)峡谷がある。ドナウ川が南カルパチアの山あいをえぐってできた峡谷で、支流のモラヴァ沿岸の斜面ではブドウ栽培がさかんである。最も有名な産地は、ルーマニアブルガリアセルビア三国の国境に近い東部のネゴティン渓谷(Negotin)地域である。ドナウ川南岸に位置するベオグラードの砂質土壌は、スメデレフカ種の栽培に最適であり、スメデレフカ・ワインの最大産地となっている。西モラヴァ川流域地方にあるオブチャル山とカブラル山の渓谷には、オブチャル・カブラル修道院郡があり、オスマン帝国支配の時代を通してワイン製造の伝統が守られてきた。南部には、プロコップ(Prokop)とトポラ(Topola)があり、人びとは古くから土着品種の栽培はじめていた。カラジョルジェヴィッチ王家のブドウ園も、トポラのオプレナッツ(Oplenac)で続いている。

 

PDO / PGIの地理的表示(oznake geografskog porekla)
①ポツェリナ・ヴァリェヴォ地方(POCERSKO-VALJEVSKI REJON)
②ネゴティン渓谷地方(REJON NEGOTINSKA KRAJINA)
③クニャジェヴァッツ地方(KNJAŽEVAČKI REJON)
④ムラヴァ川流域地方(MLAVSKI REJON)
⑤トプリカ川流域地方(TOPLIČKI REJON)
⑥ニーシュ地方(NIŠKI REJON )
⑦ニシャヴァ川流域地方(NIŠAVSKI REJON)
⑧レスコヴァツ地方(LESKOVAČKI REJON)
⑨ヴラニェ地方(VRANJSKI REJON)
⑩チャチャク・クラリェヴォ地方(ČAČANSKO – KRALJEVAČKI REJON)
⑪トリモラヴェ地方(REJON TRI MORAVE)
ベオグラード地方(BEOGRADSKI REJON)
⑬シュマディヤ地方(ŠUMADIJSKI REJON)
 

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①ポツェリナ・ヴァリェヴォ地方(POCERSKO-VALJEVSKI REJON)
ポツェリナ・ヴァリェヴォ(Pocerina–Valjevo)地方はベオグラードの南西にあり、ワイン産地は、サヴァ(Sava)川の南とドリナ(Drina)川の東の地域をカバーしている。この地域は、セル(Cer)山とヴラシッチ(Vlašić)山の斜面に広がり、全体がタムナヴァ(Tamnava)川、ウブ(Ub)川、コルバラ(Kolubara)川、リーグ(Ljig)川、ヤダー(Jadar)川と交差している。気候に影響を与える要因は、南側の地域を取り囲む低山スボボール(Suvobor)山とマルイェン(Maljen)および北西側のセル(Cer)山である。地形は南西から北東に向かって徐々に低下しており、ブドウ園は標高150mから310mの主に南部、南東部、東部に位置している。セル山の斜面には、北と北東の斜面にもブドウ園が存在する。最大の産地はポドゴリエ(Podgorje)である。
1.ポツェリナ(Pocerina)地区
2.ポドゴリエ(Podgorje)地区
3.コルバラ・リィグ(Kolubara-Ljig)地区
主な栽培品種:(白)モラヴァ、トラミナック、ソーヴィニョン・ブランシャルドネ(黒)ピノ・ノワールカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、プロクパッツ


Tutti Sirogojno 2013.(Serbian

原産地呼称:ヴィルニチの水(Voda Vrnjci)/シロゴイノ(Sirogojno) 


②ネゴティン渓谷地方(REJON NEGOTINSKA KRAJINA)
 ネゴティン・クラィナ(Negotinska-krajina)地方のネゴティン渓谷は、かつてバルカン山脈と呼ばれたスタラ・プラニナ山のふもとに位置し、一方はミロシュ・ツルニ・ヴラ(Miroč, Crni Vrh)、デリ・ヨヴァン(Deli Jovan)の山々と、反対側のドナウ川(Dunav)とティモック川(Timok)に囲まれた平地に位置している。年間を通して晴れた日が多いため、この地域は晩生品種に特に適している。なかでもセルビア国内でのカベルネ・ソーヴィニヨンの品種の最高の特性を表現する理想地域であると考えられている。また、稀少なタミヤニカの黒(ツルナ・タミヤニカ)も、この地方でのみ栽培されている。19世紀にはオーストリアハンガリーの領事館が置かれ、ブドウの樹の取引記録も残されている。

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Rajačke pivnice Serbia.com

 この地方のラヤツ(Rajac)、ログリイェヴォ(Rogljevo)、スメドヴァッツ(Smedovac)にある「ピムニツェ(pimnice)」には「人々が住むのではなくワインが住んでいる」。田舎の広大なブドウ畑の地下にセラーを作ることができなかったため、農民が切り出した石や丸太で建設した。17世紀から19世紀の建物は狭い通りに並び、貯蔵室は地下3フィートにある。地上階では、生産者が収穫と醸造の時期に生活をした。


【人口150人のワインの秘境】激レアなセルビア在来種のワインの美味しさの秘密を探ってみた。 | VLOG 海外田舎旅③

 「ラヤチケ・ピムニツェ(Rajačke pimnice)」は、18世紀の木造建築である。ラヤツ村近郊のティモック川の丘にあり、かつて300軒あったピムニツェのうち30軒ほどが観光名所となっている。ログリイェヴォ村にある約150軒のピムニツェは、中央の高原に続く曲がりくねった通りに並び、屋根付きの井戸が村の中心となっている。スメドヴァッツの石造りのピムニツェ(Štubičke pimnice)は、かつて400軒あったピムニツェのうち、39軒が保存されている。この地域の最大のワイン生産地域はネゴティン渓谷(Negotin)地区である。
4.クリュック(Kljuc)地区
5.ブルザ・パランカ(Brza Palanka)地区
6.ミハイロヴァツ(Mihajlovac)地区
7.ネゴティン渓谷(Negotin)地区
8.ロドリィエヴォ・ラヤツ(Rodljevo-Rajac)地区
主な栽培品種:(白)スメデレヴカ、タミヤニカ、リースリング・イタリコ、ソーヴィニョン・ブランセミヨン、シャルドネリースリング/(黒):プロクパッツ、ザチナック、ヴラナッツ、ツルナ・タミヤニカ、バグリーナ、ピノ・ノワール、ガメイ、カベルネ・ソーヴィニヨンムスカット・ハンブルク

日本で購入可能なこの地方のワイン:

https://www.francuskavinarija.com/a/ji/images/538534/content?v=1&j_rp=900https://www.francuskavinarija.com/a/ji/images/538537/content?v=1&j_rp=900

ボンジロー(Estelle et Cyrille BONGIRAUD)

元 DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)のシェフドキュリチュール(畑と栽培の責任者)がセルビアに開いた醸造所。


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原産地呼称:クリビヴィル(Krivi Vir)の羊/牛/山羊乳のハードチーズ(Krivovirski kačkavalj)/ホモリェの羊の塩水漬チーズ(Homoljski ovčiji sir)/ホモリェの山羊の塩水漬チーズ(Homoljski kozji sir)/ホモリェの牛の塩水漬チーズ(Homoljski kravlji sir)/スタラ・プラニナのチーズ(Staroplaninski kačkavalj)/ホモリェの蜂蜜(Homoljski med)/クラドヴォのキャビア(Kladovski kavijar ”Caviar of Kladovo”)/ドゥボカのミネラルウォーター(Mineralna voda Duboka)/ヴァリエヴォのタバコ(Valjevski duvan čvarci)/郷土料理:ドナウ川のフィッシュスープ(Riblja Corba)

 

③クニャジェヴァッツ地方(KNJAŽEVAČKI REJON)
 クニャジェヴァッツ(Knjaževac)地方の寒い冬と、晴れの日が多い夏この地域では、ローマ時代からブドウが栽培されていた。生産地は、ティモック(Timok)川の上流域周辺の山々に囲まれており、黒ブドウの生産が盛んである。また、地中海の品種ヴラナッツの最東端の栽培地域である。最大のワイン生産地域はザエチャルである。
9.ボル(Bor)地区
10.ボリェヴァッツ(Boljevac)地区
11.ザエチャル(Zajecar)地区
12.ポトルカニェ(Potrkanje)地区
主な栽培品種:(白)スメデレヴカ、リースリング・イタリコ/(黒)プロクパッツ、ピノ・ノワール

④ムラヴァ川流域地方(MLAVSKI REJON)
 ムラヴァ川流域(Mlava)地方の生産地は大モラヴァ川(Velika Morava)下流の右岸に位置する畑と、ムラヴァ川(Mlava)とペック川(Pek)の盆地に広がっている。最大のワイン生産地域はポジャレヴァッツ(Požarevac)である。
13.ブラニチェヴォ(Braničevo)地区
14.ポジャレヴァツ(Požarevac )地区
15.ラサヴァ(Rasava)地区
主な栽培品種:(白)ソーヴィニョン・ブランピノ・グリ、トラミナック/(黒)ピノ・ノワール、マルセラン、プロクパッツ、カベルネ・ソーヴィニョン
原産地呼称:ポジャレヴァツのソーセージ(Požarevačka kobasica)
 

⑤トプリカ川流域地方(TOPLIČKI REJON)
トプリカ川流域(Toplica)地方の生産地は、トプリカ川(Toplica)とその支流、特にヴェリキ川(Veliki)とマリ・ジャストレバッツ川(Mali Jastrebac)の流域全体が含まれる。最大の地域はプロクプリェ(Peokuplje)である。


TOPLICKI VINOGRADI

16.プロクプリェ(Peokuplje)
17.ユグ・ボグダン(Jug Bogdan)
18.ジトロラージャ(Zitoradja)
主な栽培品種:(白)シャルドネピノ・グリ/(黒)プロクパッツ、カベルネ・ソーヴィニョン、マルセラン、メルローカベルネ・フラン、ガメイ
日本で購入可能なこの地方のワイン:Monde Deliciousオンラインショップ

https://img21.shop-pro.jp/PA01351/669/product/130963116_th.jpg?cmsp_timestamp=20181003180225

ワイナリー・「トプリチキ葡萄畑」(Vinarija "Toplički Vinogradi")

 

⑥ニーシュ地方(NIŠKI REJON)
 ニーシュ(Niš)地方の生産地は、ニシャヴァ川(Nišava)の下流域と南モラヴァ川(Južna Morava)とモラビカ川(Moravica)の下流域に位置している。最大の生産地はシェガール(Cegar)である。
19.ソコバーニャ(Sokobanja)地区
20.アレクシナッツ(Aleksinac)地区
21.ジツコヴァッツ(Zitkovac)地区
22.ツェガー(Cegar)地区
23.クティーナ(Kutina)地区
24.スヴルリグ(Svrljg)地区
主な栽培品種:(白)ジュプリャンカ、イタリアンリースリングソーヴィニョン・ブラン/(黒)メルロー、プロクパッツ、カベルネ・ソーヴィニョン、プロヴディーナ

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原産地呼称:スヴルリグの羊乳チーズのコーンブレッド「ベルムジュ」(Svrljiški belmuž)/スヴルリグの牛乳の白い塩水漬チーズ(Svrljiški kačkavalj)/スヴルリグの牛乳のハードチーズ(Svrljiški kravlji sir)/オブラチナのサクランボ(Oblačinka iz Oblačine)
郷土料理:バルカンのチーズパイ(Gibanica)

 

⑦ニシャヴァ川流域地方(NIŠAVSKI REJON)
 ニシャヴァ川流域(Nišava)地方の生産地は、ニシャヴァ(Nišava)川中流域の狭い谷にある。最大のワイン生産地域はピロット(Pirot)である。
25.ベーラ・パランカ(Bela Palanka)地区
26.ピロット(Pirot)地区
27.バブシュニッツァ(Babusnica)地区
主な栽培品種:シャルドネソーヴィニョン・ブラン、イタリアンリースリング、スメデレヴカ/(黒)ヴラナッツ、プロクパッツ、ムスカット・ハンブルグメルローカベルネ・ソーヴィニョン


Soulfood Srbija - Pirotski kačkavalj
原産地呼称:ピロットの絨毯(Pirotski ćilim)/ピロットの牛乳のハードチーズ(Pirotski kačkavalj od kravljeg mleka)
郷土料理:ヤマドリタケ/仔羊の丸焼き/ベーラ・バランカのバニツァ(パイ)

 

⑧レスコヴァツ地方(LESKOVAČKI REJON)
 レスコヴァツ(Leskovac)地方の生産地域は、南モラヴァ川(Južna Morava)の上流域の非常に広くギザギザした斜面と、プスタ・レカ(Pusta Reka)、ヴェテルニカ(Veternica)、ヴラシナ(Vlasina)支流の、レスコヴァツ全体に分布している。最大のワイン生産地域はビナラ(Vinara)である。
28.バビッコ(Babicko)地区
29.プスタ(Pusta)地区
30.ヴィナラ(Vinara)地区
31.ヴラソティンツェ(Vlasotince)地区
主な栽培品種:(白)ライン・リースリングシャルドネ、イタリアンリースリング/(黒)メルローカベルネ・ソーヴィニョン、ブラウ・フランキッシュ、プロクパッツ

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原産地呼称:レスコヴァツのバーベキュー肉(Leskovačko roštilj meso za pljeskavice i ćevapčiće)/レスコヴァツの自家製アイヴァル(Leskovački domaći ajvar)
郷土料理:プリェスカヴィツア(Pljeskavica)チェヴァプチッチ(ćevapčići)串刺し肉(Ražnjići)ムチュカリッツァ(Mućkalica)

 

⑨ヴラニェ地方(VRANJSKI REJON)
 ヴラニェ(Vranje)地方の生産地は、南モラヴァ川(Južna Morava)を囲むヴラニェ渓谷の地形が含まれている。最大のワイン生産地域はヴルトゴス(Vrtogos)のワイン生産地域である。


Vranje - Talija Art co. 15 godina

32.スルドゥリツェ(Surdulice)地区
33.ヴルトゴス(Vrtogos)地区
34.ブストラニェ(Bustranje)地区
主な栽培品種:(白)シャルドネムスカット・オトネル、ソーヴィニョン・ブランタミヤニカ/(黒)カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、プロヴディーナ、ムスカット・ハンブルグ、ヴラナッツ 

 

⑩チャチャク・クラリェヴォ地方(ČAČANSKO – KRALJEVAČKI)
 チャチャク・クラリェヴォ(Čačak–Kraljevo)地方のワイン生産地は、西モラヴァ川(Zapadna Morava)の両岸に位置するチャチャク渓谷(Čačak)と、イバール川(Ibar)の渓谷の小さな地域がある。オブチャル山とカブラル山の渓谷には、オブチャル・カブラル修道院郡があり、オスマン帝国支配の時代を通してワイン製造の伝統が守られてきた。最大のワイン生産地域は、イェリカ(Jelica)である。
35.リュビッチ(Ljubic)地区
36.イェリカ(Jelica)地区
37.イバール(Ibar)地区
主な栽培品種:(白)シャルドネ/(黒)カベルネ・ソーヴィニョン、メルロームスカット・ハンブルグ、プロクパッツ

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原産地呼称:ウジツェの牛の生ハム(Goveđa užička pršuta)/ウジツェの豚の生ハム(Svinjska užička pršuta)/ウジツェのベーコン(Užička slanina)/ズラタルの牛乳の白い塩水漬チーズ(Zlatarski sir)/アリリェのラズベリー(Ariljska malina)/セニツァの羊(Sjenička jagnjetina)/セニツァの羊乳の白い塩水漬チーズ(Sjenički ovčiji sir)/セニツァの牛乳の白い塩水漬チーズ(Sjenički kravlji sir)/カチェルの蜂蜜(Kačerski med)/チゴタ(Čigota)
郷土料理:カイマック(Kajmak)/結婚式のキャベツ(Svadbarski kupus)パスリ(Pasulj)グラーシュ(Gulaš)/ブルーベリー/茸 カラカサタケ(Macrolepiona proceral)、アンズタケ(Cantharellus cibarius)、チチタケ(Lactarius delicious)、ヤナドリタケ(Boleus edulis)、ホコリタケ(Langemania gigantea)、アイカワタケ(Laetiponus sulphureus)

 

⑪トリモラヴェ地方(REJON TRI MORAVE)
 トリモラヴェ(Tri Morave)地方は大モラヴァ川(Velika Morava)、西モラヴァ川(Zapadna Morava)、南モラヴァ川(Južna Morava)の3河川で構成されており、最も有名な産地は、山々の狭間にある西モラヴァ川流域地方にある。西と北側に山に接しており、それらは、グレデイチケ山(Gledićke)、ベシュニャヤ山(Bešnjaja)と、ゴシュ山(Goč)の南側、コパオニク山(Kopaonik)、ヤストレバッツ山(Jastrebac)と東ベャリャニカ山(Beljanica)、クチャイスケ山(Kučajske)、ルタニ山(Rtanj)とオズレン山(Ozren)である。

https://s4.thingpic.com/images/Lr/e6tepoxkHRSYyJbUD3V7zcFj.jpeg Stefan Nemanja(1113-1200)

 ジュパ(Župa)では、多くのブドウ畑が南または南東向き斜面にある丘陵地帯でブドウを栽培している。ジュパとそのブドウ園に関する最初の記録は12世紀のものである。中世のセルビア建国者であるステファン・ネマニャ(Stefan Nemanja)は、ジュパのいくつかの村とそのワインセラーをストゥデニツァ修道院に寄贈した。これらの村はすべて、必要に応じて修道院にワインを供給する義務を負っていた(ストゥデニツァ憲章(dd.1196)に記載)。また、ネマニッチ王朝断絶後もラザール公(Lazar)が、自身のワインセラーをクルシェヴィツァ畑(Krševica)に置いていた。フィロキセラは1882年にジュパに到着し、4年のうちに荒廃したが、1891年の国営ブドウ園の設立が耐性株の回復に役立った。

 20世紀初頭には100万ℓを超えるワインセラーを所有する醸造家がいくつか存在し、ワインとブドウは、ジュパの主要な収入源であった。しかしながら、20世紀の戦争によりワイン醸造のさらなる発展は停止した。第二次世界大戦後、地元の協同組合は国有化され、法により醸造家が商業目的でワインを生産することが禁じられた。ブドウ栽培は大規模な工業用ワイナリーむけの販売に限られ、醸造家にとって困難な時代であった。
21世紀初頭、先駆的なグループが、ブドウ園やワインセラーでの努力と努力を活かして、かつての栄光を取り戻すべく登場した。今日ではジュパは、プロクパッツとタミヤニカの栽培で知られている。黒ブドウのプロクパッツを「王」、白ブドウのタミヤニカを「女王」と並び称し、高品質なワインを生産している。この地方の最大のワイン生産地域はクルシェヴァッツ(Kruševac)である。
38.パラチン(Paracin)地区
39.ヤゴディナ(Jagodina)地区
40.ヨヴァッツ(Jovac)地区
41.レヴァッツ(Levac)地区
42.テムニッチ(Temnić)地区
43.トルステニッツ(Trstenic)地区
44.クルシェヴァッツ(Kruševac)地区
45.ジュパ(Župa)地区
46.ラジャニ(Ražanj )地区
主な栽培品種(白):タミヤニカ、リースリング・イタリコ/(黒)プロクパック、ヴラナッツ、カベルネ・ソーヴィニヨンメルロー
日本で購入可能なこの地方のワイン:Monde Deliciousオンラインショップ

https://img21.shop-pro.jp/PA01351/669/product/130962579_th.jpg?cmsp_timestamp=20180428180440https://img21.shop-pro.jp/PA01351/669/product/130961727_th.jpg?cmsp_timestamp=20180428174036

ワイナリー・イヴァノヴィッチ(Vinarija Ivanović

https://img21.shop-pro.jp/PA01351/669/product/145808933_th.png?cmsp_timestamp=20190926014905https://img21.shop-pro.jp/PA01351/669/product/145808936_th.png?cmsp_timestamp=20190926014939https://img21.shop-pro.jp/PA01351/669/product/145808089_th.png?cmsp_timestamp=20190926014746https://img21.shop-pro.jp/PA01351/669/product/130972281_th.png?cmsp_timestamp=20191001083827https://img21.shop-pro.jp/PA01351/669/product/145808929_th.png?cmsp_timestamp=20190926014832 

ワイナリー・ミロサヴェヴィッチ(Vinarija Milosavljević)

ワイナリー・ブレストヴァチキ(Vinarija Brestovacki) 

ボトゥンヤック ワイナリー(Vinarija Botunjac)

原産地呼称:ルタニのハーブティ(Rtanjski čaj)

 

ベオグラード地方(BEOGRADSKI REJON)
 ベオグラード(Beograd)地方のワイン生産地域は、コルバラ川(Kolubara)とサヴァ川(Kolubara)の河口から、大モラヴァ川(Velika Morava)とドナウ川(Dunav)の合流点までの川の南の裏地と、アヴァラ山(Avala)とコスマイ山(Avala)の斜面の畑に広がっている。良好な気候と穏やかな日当たりの良い川の斜面では、イリュリヤ、トラキアケルトの部族は、この地域にローマ人が到着する前からブドウを栽培していた。第一次世界大戦まで、ベオグラードのスメデレヴォ周辺は、市内中心部自体を含むブドウ園で覆われていたと伝わっている。この地域は歴史的に、上質な白ワインで知られ、ブドウ品種スメデレフカは古くからこの地域で栽培されてきた。品種名としての「スメデレフカ」は、19世紀に書かれた資料に記載されている。最も重要な畑は、スメデレヴォ近郊のズラトノブルド(Zlatno brdo)「黄金の丘」である。名前は、広大なブドウ園が葉の色を緑から黄金色に変える秋に遠くから見ることができる色に由来し、セルビアで最高のスメデレヴカワインを産出している。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a8/MilosObrenovic_1848.jpg/250px-MilosObrenovic_1848.jpg Milos MilošObrenović (1780-1860)
 また、第2蜂起のリーダーであるミロシュ・オブレノヴィッチ公(Knez Milos MilošObrenović)も19世紀にスメデレヴォにブドウ畑のあるサマーハウスを購入した。36haの畑でブドウの栽培をはじめ、オブレノヴィッチ家の「ロイヤルヴィンヤード」の伝統的なブドウの収穫に参加していた。
47.アヴァラ・コスマイ(Avala-Kosmaj)地区
48.グロツカ(Grocka)地区
49.スメデレヴォ(Smederevo)地区
50.ドゥボナ(Dubona)地区
51.ラザレヴァッツ(Lazarevac)地区
主な栽培品種(白):スメデレヴカ、ソーヴィニョン・ブランセミヨン、トラミナック、シャルドネ、ライン・リースリング、イタリアンリースリング/(黒):プロクパッツ、ヴラナッツ、カベルネ・ソーヴィニヨンムスカット・ハンブルグピノ・ノワールメルローカベルネ・フラン、マルセラン、リージェント(Regent)

 

f:id:ladybug-noriko:20201006215747j:plain(※日本未入荷)

原産地呼称:ヤゴディンのロゼワイン(Jagodinska ružica)※/ジェルダップの蜂蜜(Đerdapski med)

 

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Wine Route Oplenac Serbia.com

 

⑬シュマディヤ地方(ŠUMADIJSKI REJON
 シュマディヤ(Šumadija)地方の生産地域には、ルドニク山(Rudnik)から大モラヴァ川(Velika Morava)までのシュマディヤ(Šumadija)の丘陵地帯の一部が含まれている。最大のワイン生産地域はクラグェヴァッツ(Kragujevac)である。
カラジョルジェヴィッチ(Karadjordjević)王家のワインがこの地域を有名にしたが、この地域のワイン造りはそれよりはるか以前にさかのぼることができる。ヴィンチャ(Vinča)村の名は、オプレナッツ(Oplenac’s)のローマ人により、ワインを意味するヴィンセア(Vincea)にちなんで名付けられた。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c6/PetarI-Karadjordjevic.jpg/250px-PetarI-Karadjordjevic.jpg Peter I Karadjordjević (1844-1921)
 オプレナッツは19世紀にセルビア国家の中心地となったが、同時にワインの首都でもあった。1906年にペータル1世(King Peter I Karadjordjević )はオプレナッツ農民から土地とブドウ園の買い取りをはじめ、土着品種の栽培をはじめた。後継者であるアレクサンダル(Aleksandar)は、父親からワインとブドウ栽培への愛情を受け継ぎ、1923年から国際品種の栽培をはじめた。1931年にはオプレナッツの丘に彼自身のワインセラーの建設を決め、長さ45m幅15m、地下2階で40万ℓの容量をもつ王家のワインセラーが完成した。ワインは、容量4,000ℓのスラヴォニアオーク樽でここに保管されていた。今日のオプレナッツ・ワイン街道の最大の観光名所である。博物館に変わった一部には、最初のワイン樽のいくつかが大切に保管されている。その中には、1922年にアレクサンダル王への結婚祝いとしてユーゴスラビア王国の国民から贈られた3つの樽も含まれている。それぞれの樽の容積は530ガロンあり、正面にはセルビア語、クロアチア語スロベニア語で賛美歌の詩が刻まれている。
  

 第二次世界大戦後、ヴィンチャのワイン製造協同組合は国有化され、工業国営企業ナヴィップ(Navip)の一部とされた。王のワイナリーは王家の財産とともに没収され、時間の経過とともにブドウ園は放置されていた。 1990年代まで放置されていたオプレナッツのブドウ畑はワイナリーのアレクサンドロヴィッチとラドヴァノヴィッチによる改修後、約1120haに至っている。最初の収穫は2006年に行われ、以降、王家のブドウ畑のワインが再び世界中へ輸出されている。
52.クルネヴォ(Krnjevo)地区
53.オプレナッツ(Oplenac)地区
54.ラカ(Raca)地区
55.クラグエヴァッツ(Kuragujevac)地区
主な栽培品種:(白)オプレンカ(Oplenka)、ジラヴカ、ピノ・ブラン、プレメンカ、トラミナック、シャルドネソーヴィニヨン・ブラン、スメデレフカ、ライン・リースリング/(黒)プロクパッツ、ガメイ、ピノ・ノワール、ヴラナッツ、ムスカット・ハンブルグカベルネ・ソーヴィニョン、メルローカベルネ・フラン、マラガ( Malaga)
日本で購入可能なこの地方のワイン:Monde Deliciousオンラインショップ

 

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 ワイナリー・アレクサンドロヴィッチ(Vinarija Aleksandrović)

原産地呼称:ブヤノヴァツのミネラルウォーター「AQUA HEBA」(Bujanovačka mineralna voda “AQUA HEBA”)/ブコヴィチュカ・バーニャの「ミロシュ王子」(”Knjaz Miloš” Bukovička banja)
郷土料理:プラム料理/コーンブレッド(Proja)ポガチャ(Pogača)

 

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