セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について 

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セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史
②気候・風土・土壌      
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         
 2.黒ブドウ         
④ワインの法律と品質分類 
⑤ワインの産地と特徴
 1.セルビア中央地域
 2.ヴォイヴォディナ地域、コソヴォ地域
⑥参考書籍・参考サイト
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり) 

 ラキヤはバルカン地方で主に果実などからつくられる蒸留酒である。蒸留技術は、中世にアラブ社会からオスマン帝国を経由してバルカンに伝えられ、セルビア地域の標高の高い山間部では、ワインに適した糖度の高いブドウが生育しないため、プラム、杏などの果実を利用したラキヤがつくられようになった。名称はトルコの蒸留酒ラクに由来するが、ラクとは異なる飲料に発展している。

 ラキヤは伝統料理の食前酒や、宗教儀式や冠婚葬祭の場において、チョカニチッチ(čokanjčić)と呼ばれるショットグラスでふるまわれる。代表的なラキヤは、シュリヴォヴィッツァ(šljivovica)と呼ばれるプラムブランデーである。シュリヴォヴィッツァは、セルビアで初めての原産地呼称認定ブランドであり、ズラティボール山近郊のシュリヴォヴィッツァ村の伝統レシピが元となっている。

 

http://www.serbia.com/wp-content/uploads/2015/02/rakija-srbija.jpg

Serbia.com Slivovitza – the queen of Serbian brandies

 セルビアでは年間450,000tのプラムが生産され、そのおよそ70%がシュリヴォヴィッツァの製造に使用される。オーガニックな製法でつくられたプラムのみがラキヤの製造に使用され、プラムの種類により味わいは異なる。ボジェガ種(Požega)とツルヴェナ・ランカ種(Crvena ranka)からつくられるラキヤが最上とされている。中部セルビアの中心、シュマディヤ地方はボジェガ(Požega)の名産地であり、マケドニアアレクサンダー大王によって、紀元前4世紀にシリアからバルカンにもたらされたといわれている。また、「チャチャクの美人」という意味のチャチャクンスカ・レポティカ(Čačanska lepotica)、スタンレー(Stenley),チャチャンスカ・ラーナ(Čačanska rana)、種からつくられるラキヤも有名である。標高1,000mに位置するズラティボール地方のウジツェもラキヤづくりで有名で、毎年4月には地元の自家製ラキヤ品評会が開かれている。また、コソヴォでは修道院でブドウからつくられるロゾヴァチャ(Lozovača)が有名である。

 

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(左はブドウからつくられたロザ、中央と右は蜂蜜入り)

 通常、ハーブやその他の添加物が加えられていないラキヤは無色である。種類によってはオークやクワで作られた樽の中で保管され、芳香と黄金色を帯びる。セルビアブルガリアなどでは、複数の果物を混ぜ合わせたラキヤもある。民間療法でラキヤは、病気や苦痛を和らげる薬としても知られ、セルビアでは「ワインは熱を上げ、ラキヤは熱を下げる」といい、風邪薬ともされている。シュマディヤ茶とよばれるシュリヴォヴィッツァに砂糖を入れて沸かした飲み物も民間療法に用いられる。シュマディヤ茶は通常、一度めの蒸留の過程で得られたアルコール度数の柔らかいラキヤが使われている。

 

 ラキヤの生産は、ラキヤおよびその他のアルコール飲料に関する法律によって規制されており、15%から55%のアルコール度数が必須である。合成アルコールと砂糖の添加は禁止されており、規定の添加剤、甘味料、香料の添加は許可されている。個人消費用の場合はこの法律の対象ではないが、一般への販売は、生産者登録と法規制を満たしている場合にのみ限られる。
 現在、セルビアでは、2,000か所の醸造所が正式登録されており、うち、約100か所が高品質のラキヤを生産している。農村世帯の生産者による販売はごく一部に限られ、多くの場合はオーク樽で熟成し、スラヴァや誕生日などの特別な機会にふるまわれる。長期の熟成に適しているため、数十年前のボトルが重要なイベントのために保存されていることもまれではない。(トップの写真は自家製ラキヤの保存容器)。

 


セルビアの伝統的なお酒ラキヤの造り方!これぞセルビア!【セルビアちゃんねる】

 

 ラキヤの基本的な製法は、収穫した果実を選果ののち、洗浄→切るか砕いて液体にする→発酵→蒸留→熟成の過程でなされる。蒸留は複数回行われ、はじめにジュースまたは「コミナ(komina)」と呼ばれる果汁の残渣に水分を加えて発酵させた液体を、最低25%アルコールで度数まで蒸留する。次に最初の蒸留で得られた25%程度の柔らかなブランデーを、通常40%程度まで再蒸留する。この伝統的な製法でつくられたラキヤは、プレペチェニツァ(prepečenica)という名前でも流通している。自家製のものでは、さらに蒸留を重ねた度数の高いものもあり、典型的には50%から60%、強いものは70%程度まである。

 

 

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主なラキヤの果実と名称:

プラム(シュリヴォヴィッツァ šljivovica)
特にポジェガ種のプラムからつくられるラキヤ(ポジェガチャ požegača)

洋ナシ(クルシュコヴァチャ kruškovača)
特にウィリアムズ種の洋ナシからつくられるラキヤ(ヴィリャモヴカvilijamovka)

カリン(ドゥニェヴァチャdunjevača)

ブドウ(ロゾヴァチャ、ロザ lozovača/loza)

アンズ(カイシイェヴァチャ kajsijevača)

リンゴ(ヤブコヴァチャ jabukovača)

サワーチェリー(ヴィシェニェヴァチャvišnjevac)

モモ(ラキヤ・オド・ブレスクヴェ Rakija od breskve)

イチジク(スモクヴォヴァチャ smokvovača)

マルメロ(ドゥニェヴァチャ dunjevača)

蜂蜜入り(メドヴァチャmedenica)
※ラキヤに蜂蜜を足してつくられるため、アルコール度数が低めである。

調合ハーブ入り(トラヴァリッツァ travarica)

プラムとセイヨウネズの実入り(クレコヴァチャ klekovača)

胡桃入り(オラホヴァチャorahovača)

バラ入り(ルジツァružica)
 

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「セルビアワイン( Srpsko Vino)について①歴史」に続く

 

 

参考:

『SOUL FOOD SERBIA』セルビア観光局
セルビア 心のリズムで生きる』セルビア観光局

『イェレナと学ぶセルビア料理』イェレナ・イェレミッチ著 | DOMACA

ラキヤ (飲料) - Wikipedia

Slivovitza – the queen of Serbian brandies

 Stara Rakija

  

 

バルカン半島は、最初で最後のヨーロッパ。

セルビア共和国は知られざる美食大国です。

ラキヤは、本格セルビア料理レストラン『セルビアンナイト』

でもお召し上がりいただけます(2020年8月現在営業自粛中)。

スケジュール等は、下記のHPよりご確認ください。

serbian-night.com