セルビアワイン( Srpsko Vino)について③主な栽培ブドウ品種 1.白ブドウ

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 セルビアのブドウ品種についての調査にあたり「ブドウの品種を決定する際、人々は以前の経験に頼っていた。ブドウについての知識は口コミで伝えられることが一般的であったため、今日では誤りが見うけられる場合もある。文献を通じてブドウの品種を追跡することは、かなり難しい場合がある」との文章に出会い、激しく共感。。。

 この地域は文字資料の出現が遅く、口頭伝承の伝統が根強いことも背景にあるのでしょう。日本語による資料も乏しいなか、英語およびセルビア語版のWikipediaセルビア国内の果樹業者のページなど、できる限りの調べを尽くし、以下、セルビア国内で主要と思われる白ブドウ28種、黒ブドウ21種をとりあげた。

 土着品種および国内の交配品種については、歴史的な背景や品種の特性、ワインの特徴を記載した。国際品種に関しては、ほかの国でもそのワインを味わうことが可能なため写真とセルビア国内での名称、主要産地(わかる場合は)程度にとどめた。国際品種の場合は、同じ品種を国違いで飲み比べるのも一興である。

 

セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史
②気候・風土・土壌
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         ←いまここ
 2.黒ブドウ
④ワインの法律と品質分類 
⑤ワインの産地と特徴
 1.セルビア中央地域
 2.ヴォイヴォディナ地域、コソヴォ地域
⑥参考書籍・参考サイト
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり)

https://www.serbia.travel/files/30-4.jpg

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セルビアの雑誌『ポリティカ』(Политика / Politika)に掲載されました

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  9月6日発売のセルビアの雑誌『ポリティカ(Politika)』に、自作の「バルカン弁当」が掲載されました。

 2月からの営業自粛期間中、それまで不規則だった食生活を見直し、平日の昼食はお弁当を自炊しています。もともと純粋な和食が基本というわけでもなく、Serbian Nightは開催せずともセルビア料理は食べたい。バルカン料理欠乏症を抱えつつ、SNSにアップしていた日々のお弁当がセルビアでお世話になった方の目に留まり、ご紹介くださいました。

 誌面はキリル文字によるセルビア語。自力での解読は不能でしたが、セルビア語が堪能な友人が解説してくれたところ、写真に添付した説明文をそのまま掲載してくださったようです。みなさま、ありがとうございます。

 

以下、添付した説明文の和訳と原文

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「バルカン弁当」の作り方:
 日本人は昼食を弁当箱と呼ばれる小さな箱に詰めて運びます。日本の「おむすび弁当」から着想を得た「バルカン弁当」は、レピニャピタパン)におかずを詰めて作ります。
 レピニャを半分に切り穴をあけます。次に好きなものを詰めます。この日は1.たまごサラダ 2.トマトサラダ 3.レバーペーストとポテトサラダ 4.ベーコンとアイヴァル(パプリカペースト)を詰めました。チェヴァプチッチを入れるときもあります。

 

「おむすび」とは:
 「おむすび」は「おにぎり」とも呼ばれ、米を使った日本の伝統的な食べ物です。ご飯の真ん中に具を載せ、丸や三角に包んで海苔でくるみます。梅干し、焼き鮭、昆布、タラコなどが伝統的な具材です。現在は種類も豊富になり、ツナマヨや天むすなども人気です。海苔の代わりに牛肉を巻いたおにぎりを見つけることもできます。
アイヴァル(パプリカペースト)や、ウルネベス(パプリカ風味のチーズペースト)も入れることができそうです。

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セルビアワイン( Srpsko Vino)について②気候・風土・土壌

https://www.serbia.com/wp-content/uploads/2012/12/Odmor-paprike-Novi-Knezevac1-1024x6271.jpg

Serbia com. Dragoljub Zamurović – Serbia, life and customs

 主題の「ワイン」からは少し離れてしまいますが。パプリカの実りで真っ赤に染まる大地の写真を目にするたびに、セルビアのこの土壌の豊かさの秘密は何だろう・・・と、常々頭をひねっておりました。

その長年の疑問の答えが、いまここに。

 

セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史
②気候・風土・土壌      ←いまここ
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         
 2.黒ブドウ         
④ワインの法律と品質分類
⑤ワインの産地と特徴
 1.セルビア中央地域
 2.ヴォイヴォディナ地域、コソヴォ地域
⑥参考書籍・参考サイト
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり) 

 ワイン産地の分類は、その地域の気候変動、土壌タイプ、植物、人間への影響など、特定の地域の相互作用する生態系(=テロワール)に基づいて行われる。世界のトップワインのほとんどは、北半球と南半球の緯度30°と50°の間の「ワインベルト」で生産されており、この地域のテロワールはブドウやワインの品質に重要な役割を果たしている。世界のワイン生産地域を比較することにより、テロワールとワインの品質の間に関係を確立することもまた、可能である。セルビアは、中央ヨーロッパと南東ヨーロッパの交差点にあり、その範囲は北部のカルパチア山脈アルプス山脈・ディナル・アルプス山脈の尾根に囲まれた肥沃な盆地の南端から、南東の古代の山と丘に及んでいる。緯度は高品質のブドウの収穫がみこまれる北緯41°から47°の間である。


 セルビアの国土の総面積88,509㎢(コソヴォ自治州を含む)は北海道ほどの大きさであり、その65%を農地が占めている(2015年)。ドナウ川が588 kmに渡り国土を横断し、西からのサヴァ川、北からのティサ川と合流ののち、南でボスニアおよびヘルツェゴビナとの境を流れるドリナ川、北西でクロアチアとの境を流れるモラヴァ川を集めて南東でルーマニアとの国境を形成している。

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セルビアワイン( Srpsko Vino)について①歴史

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 今年の夏が、いつもと同じ夏であれば8月の終わりから9月のはじめにかけ、セルビアでワインとラキヤの収穫と醸造について学ぶ予定でした。Covid-19の影響により、あいにく「ステイ・ホーム」の夏となりましたが、日本で調べられる限りの情報で学びを重ねていきます。

 

前記事の、『セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について』に続き、ここからはセルビアのワイン(Srpsko Vino)についてのまとめです。

  

セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史            ←いまここ
②気候・風土・土壌
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         
 2.黒ブドウ         
④ワインの法律と品質分類 
⑤ワインの産地と特徴
 1.セルビア中央地域
 2.ヴォイヴォディナ地域、コソヴォ地域
⑥参考書籍・参考サイト
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり)  

 セルビアでは、ワインの生産に適したヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)種のブドウはロザ(Loza)と呼ばれ、それ以外の別のブドウ(グロージャGrožđa)と区別されている。ロザの語源は、スラヴ語の動詞laziti、lestiである。ブドウの樹もヴィノヴァ・ロザ(vinova loza)という名を持ち、Lozaという言葉はワイン用ブドウの樹に厳密に関連付けられている。 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/82/Carska_palata_Sirmijum1.JPG/1280px-Carska_palata_Sirmijum1.JPG

シルミウム遺跡 

 バルカンの激動の歴史は、ブドウ栽培の発展における浮き沈みに影響を与えた。イリュリヤ人、トラキア人、ケルト人は、この地域にローマ人が到着する前からブドウ栽培を行っていた。ブドウ栽培の初期の痕跡は、現在のヴォイヴォディナ州にあるシルミウム遺跡で、鉄器時代青銅器時代(紀元前400〜200年)に属する野生ブドウの化石が発見された。また、ベオグラード地方のヴィンツァ遺跡(Vinča)でも、野生のブドウが発見されている。しかしながら、科学的な調査では、ヴィンツァで見つかったアンフォラから、ブドウまたは発酵小麦から作られた今日のワインやビールと同様の飲み物を含んでいたことは確認されていない。

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セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について 

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セルビアワイン(Srpsko Vino) について
①歴史
②気候・風土・土壌      
③主な栽培ブドウ品種     
 1.白ブドウ         
 2.黒ブドウ         
④ワインの法律と品質分類 
⑤ワインの産地と特徴
 1.セルビア中央地域
 2.ヴォイヴォディナ地域、コソヴォ地域
⑥参考書籍・参考サイト
番外編:
①セルビアのラキヤ(Srpska Rakija)について
②2015年9月セルビア(ラシュカ、修道院にて「アガペシロップ」づくり) 

 ブランデーは15世紀頃にヨーロッパの宮廷で人気を得たが、セルビアでの生産は19世紀の終わりまで行われなかった。蒸留技術は、中世にアラブ社会からオスマン帝国を経由してバルカンに伝えられた。比較的遅いはじまりであるが、セルビアのブランデーは優れた品質を有している。標高の高い山間部では、ワインに適した糖度の高いブドウが生育しないため、プラム、杏などの果実を利用したラキヤ(Rakija)と呼ばれるフルーツブランデーがつくられようになった。名称はトルコの蒸留酒ラクに由来するが、ラクとは異なる飲料に発展している。

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 ラキヤは伝統料理の食前酒や、宗教儀式や冠婚葬祭の場において、“čokanjčić“と呼ばれるショットグラスでふるまわれる。セルビアでは、2,000か所の醸造所が正式登録されており、うち、約100か所が高品質のラキヤを生産している。また、民間での生産も行われている。農村世帯の生産者による販売はごく一部に限られ、多くの場合はオーク樽で熟成し、スラヴァや誕生日などの特別な機会にふるまわれる。ラキヤは長期の熟成に適し、数十年前のボトルが重要なイベントのために保存されていることもまれではない。(トップの写真は、自家製ラキヤの保存容器) 


セルビアの伝統的なお酒ラキヤの造り方!これぞセルビア!【セルビアちゃんねる】

 ラキヤの基本的な製法は、収穫した果実を選果ののち、洗浄→切るか砕いて液体にする→発酵→蒸留→熟成の過程でなされる。蒸留は複数回行われ、はじめにジュースまたは「コミナ(komina)」と呼ばれる果汁の残渣に水分を加えて発酵させた液体を、最低25%アルコールで度数まで蒸留する。次に最初の蒸留で得られた25%程度の柔らかなブランデーを、通常40%程度まで再蒸留する。この伝統的な製法でつくられたラキヤは、プレペチェニツァ(prepečenica)という名前でも流通している。自家製のものでは、さらに蒸留を重ねた度数の高いものもあり、典型的には50%から60%、強いものは70%程度まである。

http://www.serbia.com/wp-content/uploads/2015/02/rakija-srbija.jpg

Serbia.com Slivovitza – the queen of Serbian brandies

  代表的なラキヤは、シュリヴォヴィッツァ(šljivovica)と呼ばれるプラムブランデーである。シュリヴォヴィッツァは、セルビアで初めての原産地呼称認定ブランドであり、ズラティボール山近郊のシュリヴォヴィッツァ村の伝統レシピが元となっている。
セルビアでは年間450,000tのプラムが生産され、そのおよそ70%がシュリヴォヴィッツァの製造に使用される。

 オーガニックな製法でつくられたプラムのみがラキヤの製造に使用され、プラムの種類により味わいは異なる。ボジェガ種(Požega)とツルヴェナ・ランカ種(Crvena ranka)からつくられるラキヤが最上とされている。中部セルビアの中心、シュマディヤ地方はボジェガ(Požega)の名産地であり、マケドニアアレクサンダー大王によって、紀元前4世紀にシリアからバルカンにもたらされたといわれている。また、「チャチャクの美人」という意味のチャチャクンスカ・レポティカ(Čačanska lepotica)、スタンレー(Stenley),チャチャンスカ・ラーナ(Čačanska rana)、種からつくられるラキヤも有名である。標高1,000mに位置するズラティボール地方のウジツェもラキヤづくりで有名で、毎年4月には地元の自家製ラキヤ品評会が開かれている。また、コソヴォでは修道院でブドウからつくられるロゾヴァチャ(Lozovača)も有名である。

 

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 通常、ハーブやその他の添加物が加えられていないラキヤは無色である。種類によってはオークやクワで作られた樽の中で保管され、芳香と黄金色を帯びる。セルビアブルガリアなどでは、複数の果物を混ぜ合わせたラキヤもある。
 また、民間療法でも病気や苦痛を和らげる薬としても知られ、シュマディヤ茶とよばれるシュリヴォヴィッツァに砂糖を入れて沸かした飲み物もみられる。シュマディヤ茶は通常、一度めの蒸留の過程で得られたアルコール度数の柔らかいラキヤでつくられる。
セルビアでは「ワインは熱を上げ、ラキヤは熱を下げる」といい、風邪薬ともされている。

 

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(左はブドウからつくられたロザ、中央と右は蜂蜜入り)

 

主なラキヤの果実と名称:

プラム(シュリヴォヴィッツァ šljivovica)
特にポジェガ種のプラムからつくられるラキヤ(ポジェガチャ Požegača)

洋ナシ(ヴィリャモヴカvilijamovka)

カリン(ドゥニェヴァチャdunjevača)

ブドウ(ロゾヴァチャ、ロザ lozovača/loza)

杏(カイシイェヴァチャ kajsijevača)

リンゴ(ヤブコヴァチャ jabukovača)

サワーチェリー(ヴィシェニェヴァチャvišnjevac)

モモ(クルシュコヴァチャ kruškovača)

イチジク(スモクヴォヴァチャ smokvovača)

マルメロ(ドゥニェヴァチャ dunjevača)

ルメロ(ドゥニェヴァチャ dunjevača)

蜂蜜入り(メドヴァチャmedenica)
※ラキヤに蜂蜜を足してつくられるため、アルコール度数が低めである。

 調合ハーブ入り(トラヴァリッツァ travarica)

プラムとセイヨウネズの実入り(クレコヴァチャ klekovača)

胡桃入り(オラホヴァチャorahovača)

バラ入り(ルジツァružica)

 

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「セルビアワイン( Srpsko Vino)について①歴史」に続く

 

 

参考:

『SOUL FOOD SERBIA』セルビア観光局
セルビア 心のリズムで生きる』セルビア観光局

『イェレナと学ぶセルビア料理』イェレナ・イェレミッチ著 | DOMACA

ラキヤ (飲料) - Wikipedia

Slivovitza – the queen of Serbian brandies

 Stara Rakija

  

 

バルカン半島は、最初で最後のヨーロッパ。

セルビア共和国は知られざる美食大国です。

ラキヤは、本格セルビア料理レストラン『セルビアンナイト』

でもお召し上がりいただけます(2020年8月現在営業自粛中)。

スケジュール等は、下記のHPよりご確認ください。

serbian-night.com