9月13日㈭に 貝印本社1Fカイハウスで開催された「比内地鶏セミナー」に参加しました。
比内地鶏といえば思い出すのは2011年8月に参加した初めてのセルビア料理クラス。
寸胴鍋に鶏の丸焼きと野菜を入れ、コトコト煮込んで出汁をとり
鶏の旨みたっぷりのスープに手打ちパスタを入れたスープは、初めてだけれど懐かい。滋味あふれる味わい。
普通の鶏でもこれだけ美味しいのだから、いつかこれを比内地鶏でつくりたい、と感じたことをずっと覚えているのが今回のセミナーの受講動機。
美味しい鶏、で一番に思い浮かぶのが秋田比内地鶏なんです。
セミナーでは、まず主催者挨拶につづき、秋田県畜産試験場比内地鶏研究部 農学博士主任研究員 力丸宗弘氏による「比内地鶏について」の解説。
名古屋コーチン、比内地鶏、薩摩地鶏が日本三大地鶏と言われています。
秋田の比内鶏は江戸時代中期から後期に県北地方の地鶏とシャモの交配によって成立したと考えられ、江戸時代には鶏・卵・尾が上納されていたと伝えられているそうです。
明治時代には美味で広く知られるようになり、昭和17年に国の天然記念物に指定。
食用が困難になったため、昭和48年以降に肉質や食味を受け継ぐ交配種の研究が開始されたということです。
そして、比内鶏の雄とロードアイランドレッド種の雌を交配した「比内地鶏」が誕生。
ひなは生まれた後、鑑別により雌のみが残され、卵をもちはじめる前の160日間飼育し出荷します。
卵は産卵用に飼育している鶏のものがごく少量流通しているそうです。
比内地鶏の美味しさのヒミツは、旨味成分のイノシン酸や脂肪酸のひとつであるアラキドン酸が豊富に含まれていること。
疲労回復にも効果があるカルノシンやアンセリンが豊富に含まれており、J3のブラウブリッツ秋田も食事に取り入れているそうです。
後半は株式会社Smile meal代表 渥美真由美氏による食べ比べとデモンストレーション。
手前がブロイラー。奥が比内地鶏。その差は歴然。
肉の赤み、脂の黄色がくっきり。筋肉の繊維の太さも見てとれます。
知っているようで知らなかった地鶏、銘柄鶏、ブロイラーの区分は以下のとおり
地鶏…在来種由来の血液百分率が50%以上で出生の照明ができるもの。
75日以上生育(比内地鶏は160日。ほとんど雌)
飼育密度は10羽/㎡以下(比内地鶏は28日以降平飼いで5羽/㎡)
銘柄鶏…地鶏に比べ増体に優れた肉用鶏。飼料内容等に工夫を加えたもの
雄、雌ともに75-120日生育し出荷。
ブロイラー…外国産種鶏
雄、雌ともに短時間(40日)で成鶏に達するように育種改良された肉用種
なるほど。地鶏が高価な理由がわかります。
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平飼いで思い出すのは、2015年のセルビアで訪問した農園でのこと。
「そろそろ食事の時間だから」という言葉に、どんな餌を与えるのだろうと想像していると、おもむろに鶏舎の扉をあけると、雄鶏がまず外の安全を確認。
駆け出す雄鶏に雌鶏たちが一列に従い駆け出します。
初めて見ました。鶏の放牧。。。。
こんな環境で育った肉でつくられるセルビア料理は、やはり地鶏がふさわしい、の感を強くした出来事でした。
秋田では積雪や伝染病予防のため、運動場が付随したパイプハウスで育てられているそうです。
イタチやクマなどの被害も多いそうですが、そういえばセルビアでもキツネの被害があると聞いたっけ。
実際に現地で見学したい思いを強くしました。
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スープの飲み比べは、手羽10本に水2ℓで1時間ほど煮込み、1は塩、、2は昆布、3は昆布と醤油を味付けに加えたもの。
滋味たっぷりで、塩だけで充分美味。というか、これがいちばん好み。
調味料を加えたものは、ネギがほしいな。いろいろ野菜に沁み込ませて鍋がいいかな、などメニューの想像が膨らみます。
比内地鶏とブロイラーの部位別食べ比べ。
ゆでた場合、レバーを除くもも、むね、ささみのしっとり感はブロイラーのほうがあり、噛み応えは比内地鶏のほうが上。
肉の味は鴨に近いかな。脂はスープにすると甘味を感じます。
もも肉の皮や、皮と身の間の脂はブロイラーは、比内地鶏の場合は旨み成分の多い部分なので生かして使うほうが吉。
脂の甘みを生かした汁ものや、衣をつけて閉じ込めて調理をするのがよいと感じます。
煮込んで翌日固まったコラーゲンのぷるぷる具合も新しい目で見てみたい。
栄養素の解説をしながら、圧巻の渥美氏のデモンストレーション。
比内地鶏の疲労回復効果に焦点をあて、ビタミンACEと組み合わせることにより相乗効果を得られるメニュー2品実演。
論理的に栄養面からアプローチした素材の組み立て、調理方法は、たいへん勉強になります。いままで経験値がベースだった我が身を知ることとなりました。
比内地鶏のロースト~パルメザン風味のきりたんぽサラダで~
比内地鶏むね肉と和だしの具たくさんスープ
うーーーーー、美味しいっ。
ペロリでした。
また新しい扉が開いた一日。
貝印株式会社の佐藤傑様をはじめ、関係者のみなさま、貴重な機会をいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。