2018年2月 はちみつ紀行・養蜂場の春支度
2月6日に、三浦半島の養蜂場と蜜源を見学してきました。
2015年の養蜂大国セルビアへの旅、2016年春に受講した「はちみつ収穫体験」を経て、みつばちをますます身近に感じるようになってきています。
養蜂の歴史はエジプト文明まで遡れるそうで、当時は王位のシンボル。
2016年に旅したクロアチア、スロベニアでよく見かけたはちみつのラベルに描かれたこのドームは、ヨーロッパの養蜂で使われていたスケップという巣。
蜂も、日本みつばちよりも黒い部分が多く身体も大きいカーニオランという品種。
現在の養蜂で使われる巣箱が発明されるまでは採蜜のたびにつぶさなければならなかったそうです。わたしには日本茶の茶箱にしか見えないのですが、西洋での発明。
あ、でも、と思うとワインの木箱にも見えてきた。
日本の養蜂の歴史も古く、日本みつばちは重箱型の巣箱で飼育する場合がほとんどだそうです。こちらの写真は、旅先で展示用のものを見たので撮影。
日本みつばちは、日本の土着のみつばち。
では、西洋みつばちは?西洋ってどこ?との疑問がわいてきますが、養蜂に使われているみつばちは、イタリア原産のものが主流だそうです。
蜂にとっては植物の蜜がご飯で花粉がおかず。ロウソクにも使われる蜜蝋は、みつばちの身体からにじみ出る贅肉。もともとは透明で、色は花粉からくるものだそうです。
プロポリスは蜂が自分たちの安全を守るために遮蔽や保護のために使うもので、ローヤルゼリーはすべての蜂が生後3日間与えられるものだそう。6日以上ローヤルゼリーを食べつづけた選ばれし者が女王蜂になるんですって。なるほどー。
気温が下がってくると、気になるのがはちみつの結晶。個人的にはじゃりじゃりとした食感は嫌いではありませんが、ブドウ糖の多いものが比較的結晶しやすいそうです。
と、いままでに学んだ知識を備忘の為に書き留めて、本題の見学へと戻ります。
先月の大寒波の折もこの場所は積雪を免れたそうですが、越冬期のいまは巣箱からの出入りもまばら。
箱を開ける内検は気温が上がる午後に、ということでまずは蜜源へ。
空は晴れわたり、相模湾越しに雪をかぶった富士山もよく見えて。
みつばちの通常の飛距離は2-3km。
蜜の少ない時期は、もっと遠くまで集めに行く場合もあるそうですが、こちらの養蜂場の主たる蜜源は小網代の森。
絶滅危惧種も多数生息している自然保護区です。
昨年10月の台風21号の被害による倒木や、地表のえぐれなど数多くの場所で観られましたが、その補修のための、ま新しい木杭の姿もそこかしこに見られました。
まるで手つかずのように見える自然ですが、手厚く守られていることがわかります。
台風前後の水の流れの変化、
夏や秋との水量、植物の様子、生きものの違いも感じながらの散策。
冬のイノデシダはこんなふうだけど
夏はこうだったな、とかね。
はちみつ紀行・三浦半島の養蜂場と蜜源の森 - Letters from the "Serbian Night"
倒れてからが本領発揮のジャナヤギに生き方を学び
ナビゲーターのあとを追いながら
ともするとはぐれそうになり
時を忘れての散策。
森は湿原となり、やがて海へとつながり
干潮の浜辺へ。
浜に取り残されたぷるんぷるんのクラゲ。
牡蠣?もあります。
それだけでなく、ビニールもたくさん打ち上げられていて。
いつも心にエコバッグ。
レジ袋はお断りしようと改めて自分と約束を。
みつばちたちが空から見るこの森、湿原、そして海の風景はどんなだろう。
小網代湾を後に
鳥獣保護区をすぎて
再び養蜂場へ。
お待ちかねの内検。
麻袋を燃やして煙を焚き
ノックをして、蜂さんに合図。
蜂が箱のなかでまぁるく巣をつくっているのが巣脾。
黄色い巣礎が張られた巣枠がきれいに箱に納まっています。
この枠の間隔もとても大切。育児なら8mm。貯蜜なら12mm。
狭すぎず広すぎず、デリケートな作業です。
巣礎枠1枚の半面で1,000匹、巣箱ひとつで4万匹という大家族。
越冬期の今は規模が縮小されていますが、解説にいつも思いおこされるのが女子校時代。
暖を取るために身を寄せ合うみつばちたちに、そういえば、女子校時代は休み時間にみんなでヒーターにへばりついていたな、など余計なことを考える。
真冬の寒空をものともせず次々と飛び立つ群れ。
外観からはまったく様子を伺い知ることができない、冬眠モードまっさかりの群れ。巣箱ごとに集団の個性も異なり、興味深い。
そういえば、同じ高校でもクラスごとに個性は違うものだった。
おしりがヒクヒク動くのは呼吸なんだそうな。
可愛いなー。
このコたちが一生のうちに集める蜜はスプーン1杯だそうです。
掃除や育児の内勤を経て、蜜集めの営業、外勤に出るのはベテランになってから。
OLさんからキャリアウーマンへ、みたいだなー。
元気に春を迎えてね。
今年もまた蜜をよろしくお願いいたします。