長谷川潔展

 

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そんなんこんなで雨降りの週末に話は戻り ふらりと横浜美術館へ。

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長谷川潔って誰??」ってほどの知識だったけど よかったよー♡ 《花束》 1926年 横浜生まれでの画家で、27歳で渡仏。 現地でも忘れ去られていたマニエール・ノワールという版画の技法を確立し 1935年にはフランス政府から勲章も授賞したそうです。 花束を多く題材とし、おばけタンポポがお気に入り。 いつものように年代順に紹介していきます。

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《半開きの窓》 1956年 あぁ、なんて素敵♡ってノックアウトされたパリの窓辺。 1891年に横浜の銀行家の長男として生まれ 幼いうちに両親を亡くし、弟と都内の洋館で暮らしながら麻生中学へ通ったそう。 虚弱であったため消去法で選んだ美術の道だったそうですが 卒業後、1918年に27歳で渡仏する前には 黒田清輝から素描を、岡田三郎助、藤島武二から油彩を学び 堀口大学の書籍の装丁もしていたとか。 錚々たる名前ばかり。 なんかすごいな。

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《飼いならされた小鳥(エシェックとドミノ)№2》 1962年 1939年に第二次世界大戦が勃発するも帰国はせずフランスにとどまり各地を転々とし 1943年にフランス人女性と結婚ののち 1945年には収容所に収監され1か月ほどで解放されるも 経済的にも健康面でも大変な苦労を重ねたそう。

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《コップに刺した野花(版画集『長谷川潔の肖像』より)》 1963年 楽しみにしていた『プーシキン展』がロシア側からの申し入れにより中止になり 風評被害がこんなところにも・・・って驚き残念だったけれど その後急きょ企画されたこの『長谷川潔展』に ふらりと足を運んでみてよかった。

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《酒杯に挿した草花》 1963年 フランスの生活がどんなに長くなっても この黒は「墨」を知る日本人としてのこだわりだそう。

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《狐と葡萄(ラ・フォンテーヌ寓話)》 1963年 あ、キツネだ。 次から次へと並ぶ作品たちがどれも あんまり好きすぎてドキドキしてきたよ。

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《仮装したキツネ(フィンランド童話)》 1965年 キツネのだめ押し。 フランス・キツネって続くと、私の脳みそは自動的に『星の王子様』へ続いていき 「心でみなくちゃ。ものごとはよく見えないってことさ。 かんじんなことは、目に見えないんだよ」 って言葉を思い出すの。 そしてこれは、マリリン・モンローも好きだった言葉だったりする

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《メキシコの鳩》 1966年 鳩もかわいいなぁ。 この年にはフランス文化勲章現代日本美術展で特賞を受賞。 賞はすごいんだけど、作品は愛らしい。 なんだかその重みとのギャップが不思議なのですが 晩年の作品は、モチーフのひとつひとつに意味を持たせ 観念的、暗示的になっていくのだそう。

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《オパリンの花瓶に挿した雑草》 1968年 モチーフのひとつひとつの意味がわかると また違うのだろうけれど(それぞれの作品の横に解説あり) その解説を忘れてしまって こうやってポストカードを眺めているだけでも 美しさに魅入られちゃう。

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《草花とアクワリヨム》1969年 当日は雨ということもあって図録を買わなかったけれど やっぱり手元に置いてときどきじっくり眺めたくなっちゃった。 こんど行ったらミュージアムショップでゲットしなければ。

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静物(ジョッキ)》 川上澄夫 1926年 コレクション展では、長谷川潔と同時代に生きた もうひとりの横浜ゆかりの版画家 川上澄夫の作品も展示されていました。

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《蛮船入津》 川上澄夫 1953年 長谷川潔とはまたちがった個性で 素朴さが魅力。 この2点は鹿沼市立川上澄夫美術館の所蔵だけど 2年前、2009年のちょうど今頃に 横浜そごうの企画展に出品されていた作品と再会できました。 (その過去記事はこちら)