2009年10月 オランダ(デルフト、フェルメールセンター)

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ダムの町から高速道路を走り、国境を越え ふたたびオランダへと戻ってきました。 一番「いつか行きたい」と願っていた地を歩くために。

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「ねっ、(『千と千尋の神隠し』の)「顔なし」みたいな顔でしょ」 って友達が教えてくれた水鳥が泳ぐ 運河脇に車を停めて 友達の旦那さまが駐車券の売り場をさがすのを待っていたら ゲコゲコって声がする。 やけにカエルが多い土地ね・・・・って思ったら 友達のカメラがピントを合わせる音なんだって(笑) 海外にいる自分に慣れてきて     そんなことにやっと気付く余裕がでてきた3日目のお話。 ====

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≪赤い帽子の女≫と≪真珠の耳飾りの少女≫ね。 そこかしこに作品をモチーフとしたグッズが並ぶ ショーウィンドウを目にすると 高揚した気持ちを抑えるのが難しくて デルフトはオランダ建国の祖であるオラニエ公ウィレム1世が1572年に 居を構えた地であり、王室ともゆかりの深い場所。 昨年行った美術展で巨大スクリーンの街並の映像を目にして 「ぜったい行く!」と心に決めたんだった。

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新教会と市庁舎が向かい合うマルクト広場は 目の前に『真珠の耳飾りの少女』で 主人公のフリートが歩いていた場所。 中央の像は"国際法の父"と呼ばれる デルフト生まれのグロチウスだそうです。 (↑『地球の歩き方』の受け売りです^^;) 胸がいっぱいで もう何を話しかけられても言葉が出てこない。。。 ただひたすら 「うん、うん」 としか答えられずにごめんね。

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気がつけばもうお昼。 「ランチにしましょうか」 やっぱり、お魚のフライ食べたい。 いろいろな種類のなかかから 「どれにしようかな~」 私もそれがいいな、同じの頼んでね って甘えちゃう。

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注文ちゃんと通じたのかな? って不安になっていたら 出来ている分ではなく、 揚げたてを出してくれた市場のお姉さん。 どうもありがとー♪ 魚市場で同じように商品を求める人たちをを眺めながら はふはふ ぱくぱく。

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頭の上には黄色い葉。 ヨーロッパでは秋に 秋に赤くなる葉は少ないんですって。

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フライの油で光る指をなめながら ウエットティッシュで拭きながら 気持ちはすでにあの塔へ。

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暗くなる前にこの運河の先にも行きたいし 頭の中はぐるぐるパニック状態。

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行きたい場所それぞれの入場時間を調べてもらい、 導かれるまま、この塔へ。 1995年に修復された75mの塔は ちょっと傾いてる。 埋立地の上だから地盤沈下のせいかも。

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修道女がたたずむのは旧教会の入口。 公式な記録では1246年に建てられたことになっているそうですが その歴史は少なくともこの場所の木造の教会で礼拝が行われていた 1050年まではさかのぼれるとか。

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外側からではわからなかったけれど 息をのむほど美しいステンドグラスの数々。 1654年に弾薬庫の火災があって すべてが破壊されてしまったそうですが 1949年から1961年にかけて27箇所のステンドグラスが 修復されたそうです。

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ぐるっと見まわすと

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夕暮れで暗くなってきた教会に シャンデリアが灯って聖歌が流れてきたよ。

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ふらふらとすいよせられた場所には

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'liberation window'と名付けられたステンドグラス。 デルフト市議会から1956年に寄贈され 王家の栄光を称え、聖書の場面が描かれています。 赤いドラゴンと戦う天使から目が離せず しばらくここに立っていました。。。。

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何度もシャッターを押して ふぅ、やっと撮れた と、安心し 気づけばずっとさ迷い離れていたふたりの姿を探しながら 床にさまざまな墓碑が刻まれていたのにも気がついて

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ガイドブックから フェルメールの位置を確認したけれど うまく見つからないので 「お花が飾ってあるここだよ」って教えてもらう。 あ、さっき通り過ぎてた。 「二つあるんだよ。 もうひとつの場所は 最初に行ってたけど、知ってたの?」 え、本当? どこのこと??

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実際に埋葬されている場所はわからなくなっていますが ここがフェルメールのメモリアルだったんですって。

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画家ヨハネス・フェルメール (1632-1675) (過去記事に彼の作品をいくつか掲載していますこちらこちら) 現存する作品点数は、多くともおよそ36点と言われ、 生涯のほとんどを過ごしたこの地には 残念ながら作品は残っていません。 (借金が多かったからかなぁ・・・)

≪遣り手婆(娼婦家にて)≫1656年頃 油彩・キャンバス143.0×130.0  この左端でにやりと微笑む男性が フェルメールの自画像であるという説もあるそうです。 こんな顔だったかもしれないのね。

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そういえば昨年の『フェルメール展』では この教会の内部の絵がたくさん展示されていたんだよ なんて話をしながら

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ずーっとこの場にいたいけれど 他にも行きたい場所がたくさんあって うーん、そろそろ行かなくちゃ。

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「いい? もう大丈夫?」 うん って返事をしたけど

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未練がましく振りかえり振りかえり 次の目的地へ向かいます。

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元肉市場の前を通り抜け

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ウィンドウショッピングをしながら ぶらぶら散歩。 セール価格になっていたテーブルクロス それでも予算より高かったし サイズが合わないかもって買わなかったけど ちょっと惜しかったかな。。。

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「デルフトの運河って水位がドアにぎりぎりだね」 うん、大丈夫なのかなぁ なんて、歩いて歩いてついた場所は

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2007年にオープンしたフェルメールセンターフェルメールも彼の父も所属していた画家の組合である 聖ルカ組合集会所があった場所にあります。 30歳の頃、史上最年少で組合理事に選出されますが その頃自分の作品を1点も持っていなかったとか。 寡作のせいか、人気のせいか、はたまた借金のせいか? パンフレットに使われているのは≪絵画芸術≫の一部。 地下にはすべての作品のパネルと フェルメールの生涯の説明ビデオなど。

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天文学者1668-69年頃 油彩・キャンバス 52.0×45.5 と 

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≪地理学者≫1668年 油彩・キャンバス 50.0×45.0 のモデルになっている男性は フェルメールの友達だったんだって・・・ とか このふたつの絵はどちらも銀行家の所有だったこともあるらしいよ なんて話をしながらフロアをぐるぐる廻る。

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実際に体験ができるフロアも楽しくて。 もちろん彼が使っていたといわれる カメラ・オブスクラも覗けますが 絵の具を調合する場面の 『真珠の物語の少女』の映像がモニターで流れ 瓶に入った鉱物が展示されています。 自分で絵の具をつくるって 日本画みたい。。。。 パレットはフェルメールが使っていたと思われるものの再現。 ほんの限られた数色で描いていたのね。 たとえば、木々の緑は青と黄色の絵の具で表現していたんですって。 そんなことも 展示作品でわかりやすく解説してくれます。

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スタジオが再現された一角では ≪手紙を書く婦人と召使い≫ごっこもできます。

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≪手紙を書く婦人と召使い≫1670年頃 油彩・キャンバス 72.2×59.7cm もちろん私もこの机に向かった写真を撮ってもらったよ。

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お土産には塗り絵を買って またまた散歩に戻りましょう。

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≪小路≫1658~65年頃 油彩 カンヴァス 53.5×43.5cm この建物はすでに取り壊されてしまっていますが Oude Langedijik通りにあったとか。

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(実際に入ったお店はここではないのだけど) マルクト広場でデルフト焼きのお店を覗きます。 タイルが欲しいけど帰りのスーツケースの重さを考えて 泣く泣く選びぬいた1枚は 店員さんが「あら、お花にしたのね♡」ってにっこり。 彼女のお気に入りだったのかな。

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14~15世紀にかけて建設された新教会は この年代で名前に「新」とつくこと自体が驚きではありますが フェルメールが洗礼を受けた教会です。

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幻想的なシャンデリアの灯りに照らされて

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オランダ建国の祖オラニエ公ウィレムとその子孫が眠る場所には 天使に護られたウィレム1世の棺がありました。 滞在を通して感じた印象は とても国民に愛された王室なのね。

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デルフトブルーの♡の横を抜けて 話に夢中になっていたら

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「ここだよ」と教えてもらったのが フェルメールさんのおうち。 ≪小路≫があったとされるOude Langedijikと Molenporrtの角に建っています。 手元の雑誌記事によると3階建8DKだったみたい。 20歳で結婚した奥様カタリーナ・ボルネスのご実家で お義母様のマーリア・ティンスと同居し 1675年に没するまで11人の子供たちを育てた場所。

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彼の死後に作成された「遺産目録」から推理すると スタジオは3階にあり、絵の具は屋根裏で調合していたらしい。 『真珠の物語の少女』では、はじめ地下で寝起きをしていた主人公は 絵の具の調合を任されてから屋根裏に移っていたね なんて思い出しながら 最後の目的へ急ぎます。

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途中にあった元東インド会社の建物は現役でどこかの会社が使っているみたい。 想像していたより、ずっと普通でびっくり。

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屋根の上には風見船。 1596年に最初のオランダ船が、東インド到着にしたことからはじまる 世界最古の株式会社です。

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この建物は元弾薬庫。 1654年に爆発したというのはここなのね。 この火災がデルフトに与えた影響は大きかったようで それ以前の絵画はほとんど失われていること フェルメールの絵画の師も亡くなったのでは なんてことも昨年の『フェルメール展』で知った知識。 小説では主人公の父親が視力を失って フェルメールの家のメイドになることになったんだっけ。 最終目的地は、ここ♡

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3人ならんで いや、もうちょっと右じゃない? うーんもうちょっと後ろからかな? なんて撮った写真を見せっこしながら 盛り上がり 旅はまだまだ続きます。